2013 Fiscal Year Annual Research Report
取調録画と裁判員裁判-取調べ過程の可視化をめぐる制度構築と裁判員裁判への影響
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
23101009
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
指宿 信 成城大学, 法学部, 教授 (70211753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 宏 鹿児島大学, 司法政策研究科, 教授 (00318685)
稲田 隆司 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30284730)
吉井 匡 香川大学, 法学部, 准教授 (20581507)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 可視化 / 取調べ / 被疑者 / 参考人 / 被害者 / 目撃 / 目撃供述 |
Research Abstract |
三年目である平成25年度は、被疑者取調べに加え、目撃者(参考人)取調べの問題に研究調査を進めた。 わが国においては、未だ目撃供述の採取手続についてその信頼性確保のため十分な措置、担保が取られていないところ、諸外国における目撃証言採取手続の法整備を調査研究し、これを事実誤認を防止するという観点から公表、制度改革の必要を訴えることができた。更に、これまでの取調べの録音録画(可視化)に関する議論の進め方や政策関係アクターの動向を社会政治的な文脈から検討し、政策決定の立案過程に歪みが生じていること、未検討の制度的課題のあることを明らかにした。 すなわち、前者については、痴漢えん罪を描いた映画の公開や複数の冤罪事件の影響から広く世論の後押しを受け、私的セクターの運動の盛り上がりと時期を同じくして現実に登場したえん罪被害者に対して市民的共感が合致したにもかかわらず、従来と同じ法制審議会という官主導の方式を選択したことが刑事司法の改革の必要性を認識していないアクターに依存することとなって立法化の筋道を誤ったと総括された。また、後者については、1)参考人取調べや目撃証人の取調べ、2)一部記録化の危険性、3)法廷での記録の利用法であり、とりわけ3については刑事訴訟手続における証拠能力問題ならびに証拠調べ方法と関わって重要な問題であることを明らかにした。 加えて、取調べの録音録画(可視化)の制度設計状況を「可視化」するために、可視化概念マップの開発をおこない、これにより諸外国との比較や可視化の特性などを一目瞭然に認識把握することができるようになった。これはNHK視点論点や出版物などを通して一般に供することになり多方面で好評を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被疑者取調べに偏りがちであった研究班の研究活動を、参考人(目撃者)にまで広げることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、目撃者以外の参考人についても取調べの記録化について研究を進展させていく。
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Research Products
(3 results)