2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Hyper Bio Assembler for 3D Celluler Innovation |
Project/Area Number |
23106007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 実 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80206622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真澄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30546784)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 組織工学 / マイクロ流体システム / バイオアセンブラ / マイクロフルイディクス / 再生医工学 / 細胞培養 / バイオプロセス |
Research Abstract |
3年目に当たる平成25年度は,昨年度に引き続き,マイクロフルイディクスを利用した細胞包埋ハイドロゲル材料の作製プロセスと,それらを利用した細胞アセンブリについて,その改良および更なる応用展開を行った。具体的な実施内容例としては,以下の通りである。(1)複合的ファイバー内部における癌細胞および正常細胞の高密度共培養を行い,癌細胞の浸潤を定量的に評価するとともに,癌特異的遺伝子の定量的解析を行い,抗がん剤が癌細胞の浸潤に及ぼす影響を調査した。(2)肝小葉を模倣した複合的な組織形成においては,ミリメートルスケールの比較的大きな組織体を作製するために,複数種の細胞を包埋したマイクロファイバー束を潅流培養用流路構造に導入し長期培養を行うことで,その生存率の維持および機能評価(免疫染色など)を行った。(3)これまでに用いてきたアルギン酸等の生体内に存在しないマトリックスを除去しつつ組織体を形成するための方法論として,ゼラチン等のECM素材によって形成された繊維状のマトリックスを作製し,それらを3次元ハイドロゲル培養系に包埋して細胞と共培養を行う手法の開発を行った。ファイバー状の微小ECM素材の存在によって,細胞がゲル内部において増殖する様子が観察された。(4)これまでにマイクロ流路を用いて作製してきた微小ECM粒子について,膜乳化を利用した新規大量合成プロセスを開発し,プライマリ肝細胞を用いて複合型細胞集塊を作製し,その機能評価を行ったほか,粒子形状の制御を試みた。(5)ハイドロゲル製マイクロ流路構造を用いた血管様組織の構築について,細胞の生存率および組織体の機械的強度を高めるための潅流培養系を構築したほか,光分解性ゲル材料を犠牲層とした手法の実現可能性を実証した。 以上のような個別の材料を複合化することで,より機能の高い,サイズの大きな生体組織体の構築が可能となるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き,複合的細胞包埋材料を利用した生体組織模倣構造体の作製について,様々なゲル材料を作製する新規プロセスの開発を行うことができた。特に,アルギン酸などの余分なマトリックス除去を可能とする繊維状細胞足場材料の作製など,新しい原理に基づき組織構築を行う基盤材料・技術の確立に成功し,本技術は3次元環境において細胞アセンブリを行う上で強力なツールとなりうるものと期待される。さらに,血管や肝臓などの複雑な軟組織構造の作製についても,これまでの手法に潅流培養操作を組み合わせることで,より生体組織を模倣した構造の構築を行ったほか,複数種の細胞をアセンブリした細胞アッセイシステムの発展,細胞の高速分離プロセスの改良といった,当初の計画以上の成果が得られており,概ね当初の計画以上に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
4年度目となる平成26年度は,個別単位構造を複合化してより機能的な細胞組織体を形成するプロセスを発展させる。特に,ECM材料によって形成された繊維状細胞足場材料を利用することで,ハイドロゲル材料中に包埋した細胞の増殖及び細胞間相互作用を効率的に形成する新規手法の開発を目指す。また,潅流培養系についても,その操作条件(流速,剪断力,酸素濃度など)の最適化を行うことで,より生体に近い環境における細胞培養系の構築を試みる。さらに,主に薬剤スクリーニング・薬効アッセイ系を目的とした,肝細胞・癌細胞・神経細胞等の新規3次元培養系の確立を行い,構築した組織体の有用性を実証したいと考えている。また,細胞の効率的分離・選抜手法との組み合わせによる高機能細胞アセンブリシステムの開発にも,引き続きチャレンジしていきたい。
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Research Products
(43 results)