2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析と分子トレーシングを基盤とした細胞標的分子の創製
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
夏目 敦至 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千賀 威 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80419431)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん / 遺伝学 / 細胞生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人に発症する脳腫瘍の約半数を占める神経膠腫は、病理学的に低悪性度と高悪性度に低悪性度は緩徐に進行するが数年から十数年の経過を経てより高悪性度の腫瘍として再発する。段階的に悪性化する腫瘍であるため腫瘍内多様性及び単一細胞クローンがどのように進展していくかの過程を解明することは今後の治療の発展につながると考えられる。 今年度の研究成果として、低悪性度神経膠腫は時間的・空間的に多様性を有する腫瘍であり、その遺伝子変異には変異の生じる順番が存在すること、腫瘍が生じた後に一部のサブクローンがヒエラルキーを有するdriver変異を順番に獲得し多様性を形成しながら進展していくことが明らかになった(Nature Genetics)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回、我々の解析によりLGGにおいて新たな遺伝子変異が明らかとなった。遺伝子変異パターンは極めて排他性の強い3 typeに分類され、各Typeにおいて遺伝子変異はヒエラルキーを有する。LGGは決まった順番で変異が発生し、そのdriver変異を獲得することによりclonal evolutionを引き起こして進展していくことが明らかとなった。 LGGは時間的・空間的に多様性を有する腫瘍であり、その遺伝子変異には変異の生じる順番が存在すること、腫瘍が生じた後に一部のsubcloneがヒエラルキーを有するdriver変異を順番に獲得し多様性を形成しながら進展していくことが明らかになった。 脳内に発生するがんの一種である低悪性度神経膠腫において、大規模な網羅的遺伝子解析は過去になく、これまでで最大規模の研究成果になった。ランドマークになるメジャーな国際英文雑誌に掲載が決定している(Nature Genetics, in press)。一方、出口となる臨床応用までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、世界最大規模の網羅的遺伝子解析を行い、低悪性度神経膠腫に起きている遺伝子異常の全貌を明らかにすることができた。近年、遺伝子解析記述の革新的な進歩により大規模な悪性腫瘍における遺伝子異常の解析が行われている。欧米では多施設共同のもの莫大な費用とマンパワーを使用し成果をあげている。そのような中から、我が国からこのような最大規模の網羅的遺伝子解析が発信されることはとても意義深い。低悪性度神経膠腫はいまだ治療が困難で有効な治療が見つかっていない疾患であるため新規治療の開発が期待される。私たちが低悪性度神経膠腫の遺伝子異常の全貌を明らかとしそれぞれの遺伝子異常の役割を解明したことは今後のあらゆる研究の礎となる結果である。今後の研究により低悪性度神経膠腫の新たな分類方法や治療法の開発はもちろん、ゲノム異常に基づいた治療法や薬剤の選択、すなわちオーダーメイド医療の実現がより進むことが期待されこの疾患に苦しむ患者さんたちに利益をもたらすことが期待される。脳内に発生するがんの一種である低悪性度神経膠腫において、大規模な網羅的遺伝子解析は過去になく、これまでで最大規模の研究成果をメジャーな国際英文雑誌に掲載する予定の一方(Nature Genetics, in press)、出口となる臨床応用までには至っていない。この成果をもとに、新しい分子標的薬剤の開発や、より単純な予後予測因子の抽出と日常臨床で頻用できるアッセイ方法の確立を目指す。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Mutational landscape and clonal architecture in grade II and III gliomas.2015
Author(s)
Suzuki H, Aoki K, Motomura K, Ohka F, Yamamoto T, Tanahashi K, Ranjit M, Wakabayashi T, Yoshizato T, Kataoka K, Yoshida K, Nagata Y, Sato-Otsubo A, Tanaka H, Sanada M, Kondo Y, Nakamura H, Mizoguchi M, Abe T, Muragaki Y, Watanabe R, Ito I, Miyano S, Natsume A, Ogawa S.
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Journal Title
Nat Genet.
Volume: 47
Pages: 458-468
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Assessment of tumor cells in a mouse model of diffuse infiltrative glioma by Raman spectroscopy.2014
Author(s)
Tanahashi K, Natsume A, Ohka F, Momota H, Kato A, Motomura K, Watabe N, Muraishi S, Nakahara H, Saito Y, Takeuchi I, Wakabayashi T.
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Journal Title
Biomed Res Int.
Volume: 2014
Pages: 860241
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Olig2 labeling index is correlated with histological and molecular classifications in low-grade diffuse gliomas.2014
Author(s)
Suzuki A, Nobusawa S, Natsume A, Suzuki H, Kim YH, Yokoo H, Nagaishi M, Ikota H, Nakazawa T, Wakabayashi T, Ohgaki H, Nakazato Y.
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Journal Title
J Neurooncol.
Volume: 120
Pages: 283-91
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effectiveness of plasma treatment on gastric cancer cells.2014
Author(s)
Torii K, Yamada S, Nakamura K, Tanaka H, Kajiyama H, Tanahashi K, Iwata N, Kanda M, Kobayashi D, Tanaka C, Fujii T, Nakayama G, Koike M, Sugimoto H, Nomoto S, Natsume A, Fujiwara M, Mizuno M, Hori M, Saya H, Kodera Y.
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Journal Title
Gastric Cancer.
Volume: 2014
Pages: 100
Peer Reviewed