2013 Fiscal Year Annual Research Report
異種ゲノムの不適合性が引き起す雑種の不妊・発育不全現象の遺伝的制御機構
Project Area | Correlative gene system: establishing next-generation genetics |
Project/Area Number |
23113004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 洋一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70165835)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 雑種不妊 / 発育不全 / 発生停止 / 遺伝子発現 / インプリンティング / メチル化 / 異質倍数性 / 同祖染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 雑種発育不全のエピジェネティック制御機構の解析 胎仔・胎盤の成長の抑制が見られるキャンベルハムスター雌とジャンガリアンハムスター雄の雑種において、インプリント遺伝子であるAcl2/Mash2, Cd81, Dcn, Gatm, Igf2r, Kcnq1ot1, Mest/Peg1, Plagl1, Peg3, Usp29で、顕著な胎児の過成長と胎盤の肥大が見られる逆交配ではAcl2/Mash2, Cd81, Dcn, Dlk1/Peg9, Gatm, Grb10/Meg1, Igf2r, Kcnq1ot1, Mest/Peg1で両親性発現が見られることを明らかにした。さらに、これらの遺伝子のメチル化可変領域でメチル化パターンの変化が観察された。 (2) 雑種の胚性致死を引き起こす遺伝子発現制御機構の解析 ニワトリ-ウズラ間の雑種胚における発生中止の時期とその性的特異性を明らかにするために、昨年度に引き続き多くの受精卵で胚発生の観察を行った。その結果、培養開始後7日の時点で雌選択的な致死、あるいは顕著な発生異常が起こることを明らかにした。また、培養7日以降の多くの死亡胚(雄を含む)で顕著な形態異常が観察された。特に初期発生に着目して観察を行ったところ、受精後間もないステージ1前後で発生の停止が高頻度に起こる(受精卵のうち約38%)ことを明らかにした。 (3) 異質倍数化後に生じたゲノム・染色体再編成の細胞遺伝学的検証 cDNAクローンのFISHマッピングによって、異質四倍数体種のアフリカツメガエルと二倍体種のネッタイツメガエルの比較染色体地図を作成し、同祖染色体9組を全て同定した。さらに、2組の同祖染色体間に逆位が存在することを除けば、2種間ならびに同祖染色体間での相互転座は検出されず、異質四倍数体化後も遺伝連鎖群は高度に保存されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度には、ハムスターの雑種で発現異常が見られたインプリント遺伝子すべてについて、メチル化可変領域のメチル化パターンを解析するとともに、全ゲノムレベルでのDNAメチル化解析を開始する予定であった。そのため、さらに多くの雑種の胎仔と胎盤のサンプルを採取することが必要となった。しかし、長期にわたる近親交配によって実験動物の繁殖コロニーの近交度が上昇し、繁殖力が低下して個体数が減少したため、平成25年7月にはコロニーの維持ならびに実験用個体の生産が困難となった。そこで、他機関から新たに動物を導入して交配することによってコロニーの繁殖力を回復させ、研究用の動物を生産するのに時間を要した。そのため、上記の研究の進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 雑種発育不全のエピジェネティック制御機構の解析 キャンベルハムスターとジャンガリアンハムスターの雑種の胎仔と胎盤について、インプリント遺伝子のメチル化可変領域のメチル化解析だけでなく、高速シーケンサーを用いた全ゲノムレベルでのDNAメチル化解析を行う。そして、雑種の発育不全を引き起こすエピジェネティックな遺伝子発現制御の分子メカニズムを明らかにする。 (2) 雑種の胚性致死を引き起こす遺伝子発現制御機構の解析 高速シーケンサーを用いた、ニワトリ-ウズラ間の雑種の初期胚のトランスクリプトーム解析によって、種特異的に発現量が異なる細胞分裂・発生関連遺伝子や性染色体連鎖遺伝子を探索する。そして、発現に変動が見られた遺伝子の機能と発現制御機構を明らかにし、雑種胚が致死になる分子メカニズムの解明を試みる。 (3) 異質倍数化後に生じたゲノム・染色体再編成の細胞遺伝学的検証 アフリカツメガエルにおいて、起源の異なる二倍体種由来のレトロトランスボゾン配列のFISH解析によって同祖染色体の起源(AゲノムとBゲノム)を識別する。さらに、大量のBACクローンのFISHマッピングを行い、高精度の染色体地図を作成し、異質四倍体化後のゲノム・染色体進化の過程を明らかにする。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Comparison of the chromosome structures between the chicken and three anserid species, the domestic duck (Anas platyrhynchos), Muscovy duck (Cairina moschata), and Chinese goose (Anser cygnoides), and the delineation of their karyotype evolution by comparative chromosome mapping2014
Author(s)
Islam FB, Uno Y, Nunome M, Nishimura O, Tarui H, Agata K, Matsuda Y
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Journal Title
Journal of Poultry Science
Volume: 51
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Truncated Cables1 causes agenesis of the corpus callosum in mice2014
Author(s)
Mizuno S, Dinh T, Mizobuchi A, Iseki H, Mizuno-Iijima S, Kim J-D, Ishida J, Matsuda Y, Kunita S, Fukamizu A, Yagami K, Sugiyama F
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Journal Title
Laborarory Investigation
Volume: 94
Pages: 321-330
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] ighly species-specific centromeric repetitive DNA sequences in lizards: molecular cytogenetic characterization of a novel family of satellite DNA sequences isolated from the water monitor lizard (Varanus salvator macromaculatus, Platynota)2013
Author(s)
Chaiprasertsri N, Uno Y, Peyachoknagul S, Prakhongcheep O, Baicharoen S, Charernsuk S, Nishida C, Matsuda Y, Koga A, Srikulnath K
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Journal Title
Journal of Heredity
Volume: 104
Pages: 798-806
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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