2023 Fiscal Year Annual Research Report
Lifespan regulation of organelle component proteins
Project Area | Shin-biology regulated by protein lifetime |
Project/Area Number |
23H04923
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山野 晃史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30547526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 優子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (80399964)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 小胞輸送 / プロテアーゼ / オートファジー / 相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
各オルガネラは千差万別の寿命で代謝回転するオルガネラ固有のタンパク質群で構成されている。本研究ではオルガネラタンパク質の寿命決定において、これまで見出されていなかった新しい分解様式と作動原理を発見することを目的として、以下の研究を推進した。 1: ミトコンドリアにおける寿命決定の制御。ミトコンドリアタンパク質の寿命を制御すると考えられるプロテアーゼ・ペプチダーゼ16種類をCRISPR/Cas9法でノックアウトした細胞を作製し、寿命測定のためのプロテオーム解析の準備が整った。いくつかのミトコンドリアタンパク質について、その寿命を制御するデグロンを同定した。 2: メンブレントラフィックにおける寿命制御。メンブレントラフィックの制御因子であるRABタンパク質のシャペロン様因子の生化学的な解析を行い、グアニンヌクレオチドに結合していないアポ型RABタンパク質と強く結合することを見出した。また、不安定なアポ型RABタンパク質を分解に導くE3リガーゼの同定のためのスクリーニング法を構築した。 3: 相分離によるタンパク質寿命制御。選択的オートファジーの受容体p62はユビキチン鎖とともに液-液相分離することでp62ボディを形成し、選択的オートファジーによる分解を受ける。今年度は、液体度に影響を与えることが予想される異なるポリユビキチン鎖(直鎖型、K48結合型、K63結合型)の調製方法を確立し、これらを用いてp62ボディのin vitro再構成を行った。その結果、ユビキチン鎖の種類や長さによってp62ボディの形成効率が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1: ミトコンドリア内プロテアーゼ・ペプチダーゼの網羅的なノックアウト細胞を作製し、寿命測定のプロテオーム解析の準備が着実に進展している。また、本研究の遂行に重要なミトコンドリアタンパク質のデグロン配列の候補も同定した。 2: RABタンパク質を分解に導くE3リガーゼの同定のためのスクリーニング法の構築がほぼ完了し、順調に進展していると言える。また、RABタンパク質とそれに対応するシャペロン様因子の複合体の機能解析も新しい知見が得られた。 3: 当初の予想通り、ユビキチン鎖の種類や長さによってp62ボディの形成効率が異なることが明らかとなった。今後の詳細な解析に向けた基盤を確立することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1: ミトコンドリアプロテアーゼのノックアウト細胞シリーズを活用して、網羅的寿命測定を行い、ミトコンドリアタンパク質の半減期を算出し、その半減期を制御する責任プロテアーゼ・ペプチダーゼを同定する。また、デグロン候補を活用したin vitroおよび細胞によるアッセイを実施し、デグロンとして機能するコンセンサス配列を見出す。 2: 不安定なアポ型RABタンパク質をユビキチン修飾するE3リガーゼ同定のスクリーニングを実施して、責任E3リガーゼ候補を同定する。また、アポ型が細胞内で不安定となるRABタンパク質に対して、新規シャペロン候補を同定するためのプロテオーム解析を実施する。 3: 直鎖型、K48結合型、K63結合型以外のポリユビキチン鎖の調製を試みる。様々な種類のユビキチン鎖を用いてp62ボディを再構成し、形成効率を比較する。さらに再構成した各p62ボディの液体度をFRAPや高速AFM観察で比較解析し、ユビキチン鎖の差異が液体度に与える影響を明らかにする。
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