2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
24106003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
河原林 健一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (40361159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 卓 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40432413)
伊藤 大雄 電気通信大学, 情報理工学研究科, 教授 (50283487)
吉田 悠一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教 (50636967)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 計算量理論 / 離散アルゴリズム / 定数時間 / 劣線形時間 / 調和解析 / グラフアルゴリズム |
Research Abstract |
(1) グラフマイナー分解に対する単純なアルゴリズム: 既存のグラフマイナー分解を計算するアルゴリズムとして,計算時間が入力サイズnの3乗でかなり煩雑なものが知られていた.本研究では,単純でより高速な (nの2乗時間) アルゴリズムを得た.この結果によりRobertson-Seymourのグラフマイナー定理を応用するほとんどのアルゴリズムの改良を与えた.既存のアルゴリズムは,(非常に長く複雑なことで知らている) Robertson-Seymourのグラフマイナー定理の証明のすべての段階をアルゴリズム版に置き換えることで示されていた.我々のアルゴリズムは,数理論理学におけるCourcelleの定理と構造的グラフ理論におけるRobertson-Seymourの弱構造定理を組合せて構成している. (2) 細分フリー性の検査アルゴリズム ある性質Pを検査するとは,入力が与えられた時に,その入力が性質Pを満たす場合は(高い確率で)受理し,性質Pを満たすには「ほど遠い」時には(高い確率で)拒否することを言う.本研究では,入力としては定数次数グラフを,性質としては細分フリー性を考える.本研究では,任意の正整数tについて,K_t細分フリー性が定数時間で検査できることを示した.この結果は,エクスパンダーグラフが満たしうる大域的な単調な性質の自然な族で,定数時間検査可能な最初の例である.先行研究では,入力サイズnに関してo(n)の質問回数で検査できるかどうかさえ知られていなかった.我々のアルゴリズムは,性質検査における分割オラクルと構造的グラフ理論の結果を組み合わせることで得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1) 研究計画の進捗: 研究計画で挙げた項目について以下の進捗があった.「劣線形時間計算の可能性と限界の詳細を解明」に関して,研究実績の概要で述べたように,グラフの定数時間性質検査可能性の十分条件を大幅に拡張した.「劣線形時間計算と一般の計算限界の関係のさらなる追求」に関して,ブール変数上の2CSPの充足解を劣線形時間計算で検査できることと,非決定性対数領域で求められることの関係を得た. (2) 研究成果の公表: 平成25年度は雑誌論文(査読有り) 5件,学会発表(査読有り) 13件の発表を行った.理論計算機科学における最も権威のある国際会議 FOCS(2件),離散アルゴリズムにおける最も権威のある国際会議 SODA(7件) を筆頭に,いずれも各分野で権威のある学術雑誌,国際会議での発表である. (3) 受賞: (i) Ken-ichi Kawarabayashi with Martin Grohe and Bruce Reed, SODA 2013 Best Paper Awards, ``A Simple Algorithm for the Graph Minor Decomposition - Logic meets StructuralGraph Theory'' (ii) 河原林健一,第9回 日本学士院学術奨励賞,「先端的グラフ理論を利用した離散数学,計算機学にわたる横断的研究」 (iii) 河原林健一,第9回 日本学術振興会賞,「先端的グラフ理論を利用した離散数学,計算機学にわたる横断的研究」
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり,研究は当初の計画以上に進展している. 目標に挙げた3項目 (1) 劣線形時間計算の可能性と限界の詳細を解明,(2) 劣線形時間計算と一般の計算限界の関係のさらなる追求,(3) 情報理論・符号理論による解析手法の限界解明と打破,の中では (3) が (予定以上に進んでいる(1)(2)と比較すると) 注力する必要があると考えられる.(3) については,CSP (制約充足問題) の近似不可能性などをテーマに研究を進めていく.
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Research Products
(20 results)