2014 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマと生体ユニットとの原子・分子動的相互作用の解明
| Project Area | Plasma medical innovation |
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| Project/Area Number |
24108005
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| Research Institution | Toyohashi University of Technology |
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Principal Investigator |
水野 彰 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20144199)
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| Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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| Keywords | プラズマ医療応用 / 大気圧プラズマ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、プラズマ医療科学の創成に向けて、巨視的・微視的両観点からプラズマと生体との相互作用を解明すべく、分子・細胞・組織・個体等の各生物学的階層についてプラズマ照射の影響を定量的に把握する方法論の確立と系統的解析を目的としている。分子レベルの解析では、プラズマ照射により溶液中に生成する活性種の計測を前年度に引き続き行った。電子スピン共鳴とスピントラップ剤を用いた短寿命活性種の計測のほか、過酸化水素・硝酸・亜硝酸といった長寿命生成物の検出・定量を行った。また、これまでに行ってきたDNA切断の計測系を応用して、アスコルビン酸やグルコースがラジカル消去剤として作用することを定量的に示した。さらに、前年度に引き続きゲノム核酸とコートタンパク質のみで構成されるシンプルな生体高分子複合体であるウイルス (バクテリオファージ)を用い、ゲノム核酸・コートタンパク質それぞれの損傷がプラズマによるウイルス不活化にどのように寄与するかを解析したところ、ゲノム核酸の損傷が重要であることが示された。これらのことから、DNAやタンパク質などの生体高分子は、プラズマ照射により溶液中に生成した活性種により酸化的損傷を受けることが考えられる。細胞レベルの解析では、出芽酵母細胞内のDNA損傷を、DNA修復酵素遺伝子のプロモーターを用いたレポーターシステムで解析した。さらに、この系を高感度化するためにレポーターシステムの改良も行った。また、より実用的で重要なターゲットであるヒト由来培養細胞株 (がん細胞など)を用いて、プラズマ照射培養液投与による細胞死を解析した。上記の活性種計測の結果と併せて解析すると、肺がん由来の細胞株において過酸化水素濃度依存的に細胞死が起こっていることが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では分子レベルから個体レベルまで幅広く網羅する実施内容となっているが、分子レベルでは溶液中活性種計測について短寿命活性種のほか、長寿命活性種の計測に着手し、実施内容を深化させている。また、活性種計測の結果を、がん細胞の細胞死解析などさまざまな階層の実験と結び付けられるようになってきており、系統的理解に向けて着実に進展してきていると考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
各階層へのプラズマ照射影響を定量化する手段がこれまでに確立されつつあり、今後はこれらを活用してプラズマ照射パラメータ (プラズマの形態・照射時間・対象物との距離・キャリアガスなど)を変化させたときにどのような変化がが得られるか調べていく必要がある。そのなかで溶液中活性種の測定は重要で、これまでに計測できていない活性種の存在や活性種濃度の時間変化などを調べていく必要がある。また、個体レベルの解析に着手する必要があるが、ここでは代表的なモデル生物で個体レベルの解析に適した線虫を用いた解析を分子遺伝学的手法を用いながら進める予定である。
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