2012 Fiscal Year Annual Research Report
Functions and molecular mechanisms of membrane trafficking in biogenesis and functions of cell wall
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
24114003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 貴志 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10311333)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | エンドサイトーシス / ダイナミン / クラスリン / アダプター複合体 / セルロース合成酵素複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず,エンドサイトーシス小胞形成の最終ステップで機能するダイナミン分子の解析を行った.動物細胞においては,単一のダイナミン分子がエンドサイトーシス小胞を細胞膜からくびり切る役割を担うのに対し,植物においては,DRP1とDRP2という構造が大きく異なる2種類の分子がこの段階に関与することが示唆されている.しかし,これら二つのダイナミン様タンパク質が,同じ小胞のくびり切りに関与しているのか,異なる小胞の形成に関わるのかは不明であった.そこで,植物体内においてDRP1とDRP2 が相互作用しているのかを免疫沈降法により検証し,これらの分子が植物体内で複合体として存在していることを証明した.さらに,蛍光タンパク質で標識したDRPタンパク質が内性のDRPタンパク質と同様の機能を有することを示した上で,超解像イメージングを行い,DRP1とDRP2が共重合し,エンドサイトーシス小胞のくびり切りを実行する様子を観察することに成功した.続いて,イノシトールリン脂質がクラスリン被覆小胞形成において果たす役割を明らかにすることを目的とし,wortmannin, PAOなどの阻害剤がクラスリン被覆小胞形成にどのような影響を与えるのかを解析した.その結果,PI4Pがクラスリンの細胞膜への集合に特に重要であることが明らかとなった.さらに,セルロース合成酵素複合体のイメージング解析をおこなうべく,CESAを蛍光タンパク質でラベルした形質転換体の作出,ダイナミンとの二重可視化ラインの作出もすすめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,細胞膜上でのダイナミン分子の挙動を超解像顕微鏡を用いて明らかにするとともに,植物のダイナミンが動物のダイナミンとは異なる作用機序を有することを明らかにすることに成功した.細胞壁合成酵素複合体の可視化ラインの作成や,膜交通に異常を持つ変異体の細胞壁成分の解析も進んでおり,研究は計画に沿って順調に進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,バイオイメージングを主な手法とした植物の膜交通の解析を進めるとともに,膜交通と細胞壁構築,細胞間シグナリング,生物間相互作用などの関連を明らかにするべく研究を継続する.
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