2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Studying Interactions between Politics and Economic Development in Emerging Countries |
Project/Area Number |
25101005
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
杉原 薫 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別教授 (60117950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亨 信州大学, 人文学部, 教授 (10143520)
城山 智子 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60281763)
太田 淳 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50634375)
島田 竜登 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80435106)
田辺 明生 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30262215)
神田 さやこ 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00296732)
岡崎 哲二 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90183029)
谷本 雅之 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10197535)
小堀 聡 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90456583)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 新興国 / 発展径路 / 経済史 / アジア / グローバルヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、経済史研究および地球環境の持続性に関する研究を並行して行い、内外で最初の本格的な成果を発表した。具体的には、日本、中国、東南アジア、インドの事例を検討する計9回の研究会を開催したほか、次のような活動を展開した。①杉原は、“Global Industrialization: A Multi-polar Perspective”(Cambridge World History 2015年に刊行)を執筆し、そのなかで交易史と環境史を見据えつつ、アジアの各地域がどのように地域の資源制約を克服していったかを論じた。また、2014年9月にジュネーヴの国際会議で、“Environmental Sustainability for the Asian Path of Economic Development: A Long-term Perspective”と題し、戦後アジアの経済成長を、環境史的基盤を意識しながら検証する経済史的研究の構想を報告した。小堀も“The Development of Energy Conservation Technology in Japan, 1920-1970”と題して報告した。②杉原は、日本学術会議によるフューチャー・アースの活動(地球環境の持続性をめぐる国際的な取り組み)に関わり、シンポジウムや国際会議で講演・討論を行うとともに、『学術の動向』に「アジアの経済発展と地球環境の将来」を特集した。③杉原、脇村、田辺、神田は、『現代インド1 多様性社会の挑戦』(田辺、杉原、脇村編 東京大学出版会)を刊行し、インドの環境史について論じた。杉原は「環境の多様性と文化の多様性」(共著 元になるデータはワーキングペーパーとして刊行)を執筆するとともに、2014年12月にニューデリーの国際会議で基調講演を行った。④メンバーは、貿易史で杉原、小林が共著論文を執筆したほか、城山、太田、島田が成果を刊行した。また、エネルギーで小堀が、産業分析で久保と岡崎が、玩具(輸出)で谷本が、それぞれ成果を出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 平成25年度に引き続き、新興国、とくに中国、東南アジア、インドにおける長期の経済発展径路の存在を比較史的に究明するという目的に沿って研究会を組織した結果、少しずつではあるが、勤勉革命論、労働集約型工業化論を中心に組み立てられてきた径路の議論が、資源・エネルギー利用径路の諸類型と結びつけて具体的に議論できるようになってきた。とくに、アジアの各地域がどのように地域の資源制約を克服していったかを、フューチャー・アースにおけるwater-food-energy nexus論を歴史に適用して論じることにより、アジアの発展径路を総括的に把握するための基礎作業が進んだ。 (2) 突破口となる実証研究として、平成26年度に本格的に開始した、世界貿易とインドの国内交易統計データの収集、入力、加工作業を続け。一定の進捗を見た。19世紀前半のインドの国内・地域交易の規模や、後半の国内市場の形成とその特徴について、従来よりもはるかに明確な歴史像を描くことができた。それが「南アジア型発展径路」論を補強し、地域商人のネットワークを基礎とする地域の発展径路の存在が、アジア全体の特徴だったのではないかという仮説が浮かび上がりつつある。 (3) 個別研究の成果は順調に出ており、メンバーの本研究へのコミットメントも満足すべき水準にある。 (4) 地域交易のネットワークに関連する実証的成果は、それがアジアにおける国家形成に与えた影響の重要性という文脈で解釈されれば、「経済と政治の相互作用」という本領域研究全体の研究目標に繋げることができる。しかし、その明示的な貢献は、次年度以降の課題として残された。他班のメンバーとの交流は多面的に進んでいるので、平成27年度以降、成果にも反映することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 平成27年度は4月に全体研究会を開催し、5月の国際ワークショップでその成果の一部を報告する。貿易史と環境史の融合としての国家形成史を目指し、「交易と国家形成」、「生存基盤の確保と国家」などのテーマについて基本的な視角を確定していく。 (2) メンバー全員(研究協力者を含め12名)が、8月3-7日に京都で開催される、世界経済史会議で、関連するテーマについて報告する。主なセッション(オーガナイザー)は次の通り。Environmental Foundations of Asian Capitalism (Sugihara): The Role of Chinese “Characteristics” and Global Factors in the Development of China’s Economy (Kubo): Deflation, Money and Commodities: Maritime Asia and its Linkages to the Americas (Wakimura): Historical and Comparative Institutional Analysis of East Asian Development (Okazaki): Public Goods Provision in the Early Modern Economy (Tanimoto): Formation of Logistics Clusters in the Age of Global Trade Expansion (Shiroyama): Diversity-driven Dynamics of Economic Development in Modern South Asia (Kanda). ほかにも多くの国際学会での報告を予定している。 (3)「アジアの経済発展の環境史的基盤」というテーマにつき、引き続きフューチャー・アースの活動と連携して研究を進めるとともに、成果の社会還元を図る。 (4) 実証研究そのものの実施計画であるが、予算の半分程度を、大英図書館で入手した資料や英国議会文書の資料の入力、加工、分析にあてる。杉原は脇村、神田、小林ととともに、夏にロンドンで資料調査、1月にはニューデリーで報告の予定である。 (5) これらの研究活動を通じて、欧米や日本の経験を基準として捉えてきたアジアの新興国の歴史的経験を相対化し、その長期発展径路についてのよりバランスのとれた認識を確立していきたい。
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Research Products
(72 results)
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[Presentation] The Sustainability Path in Asia: A Global Agenda2014
Author(s)
Kaoru Sugihara
Organizer
International Conference on Science and Technology for Sustainability 2014 ‘Transdisciplinarity for Global Sustainability: Strategies for Research and Capacity Building’
Place of Presentation
Science Council of Japan (Minato-ku, Tokyo)
Year and Date
2014-07-18
Int'l Joint Research
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