2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
25104004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 重彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70402758)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | ハイブリッド QM/MM 法 / 光遺伝学 / 光受容タンパク質 / 自己組織化分子 / 発光タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物型ロドプシンの色変異体の設計:前年度に設計を行った光開閉チャネルである C1C2の色変異体に対して、QM/MM 自由エネルギー計算により、発色団構造の安定性を検証した。その結果、設計された変異体においては、天然のタンパク質に見られる発色団の構造よりも、吸収波長シフトを引き起こす捻れた構造の方が自由エネルギー的に安定であることを明らかにし、理論設計による予測をエネルギー的な観点から確認した。また、この構造変化は、X 線結晶構造解析により確認された。 hCRBP-II の色変異体の解析:QM/MM 自由エネルギー構造最適化法を用いて、hCRBP-II の一つの結晶構造を出発構造として、7 個の色変異体のモデリングを行った。その結果、7 個の変異体の 200 nm に渡る吸収波長シフトを再現することに成功し、その大きなシフトには、変異導入によるタンパク質中の水分子の移動が大きな役割を果たしていることを明らかにした。 GFP の吸収・発光スペクトルの解析:QM/MM 自由エネルギー構造最適化法を用いて、GFP の吸収・発光スペクトルの形状を解析した。その結果、実験で見られる吸収・発光スペクトルの間の幅の違いを再現することに成功し、その起源が遷移に伴う電荷分布変化の違いに起因することを明らかにした。 両親媒性自己組織化分子の包接過程における柔軟性の解析:吉沢らにより合成された両親媒性自己組織化分子による自己組織化包接過程を理論的に解析するために、分子の内部座標の分子力場を量子化学計算により決定し、分子動力学シミュレーションを行った。その結果、包接構造の柔軟な変化を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微生物型ロドプシンの色変異体の設計に関しては、色変異体の作成、解析、及び検証の結果、理論的予測が確認され、非常に高い成果を達成した。水溶性レチナール結合タンパク質である hCRBP-II の色変異体に関しては、200 nm の吸収波長シフトの再現、及びその背後にある新規なメカニズムの解明に成功し、高い成果を達成した。両親媒性自己組織化分子に関しては、分子力場の構築を完了し、MD 計算の実行が可能となった。GFP の吸収・発光スペクトルに関しては、解析を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
微生物型ロドプシン及び hCRBP-II の色変異体の設計に関しては、成果を論文にまとめる。また、hCRBP-II に関しては、更に吸収波長がシフトした変異体の設計を行う。両親媒性自己組織化分子に関しては、包接過程のシミュレーションを進め、解析を行う。GFP の吸収・発光スペクトルに関しては、成果を論文にまとめる。
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