2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外シグナルと細胞内調節の相互作用による器官形成ロジックの多元的理解
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
25113006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70214260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 南 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (80190396)
大島 良美 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (00722951)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞分化 / 転写因子 / 環境 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の様々な細胞がどのようにしてそれぞれのアイデンティティーを獲得するのかを理解する事は発生生物学上極めて重要である。細胞は自らの置かれた状況を認識し、遺伝子発現制御を介して特異化する。多くの場合、少数の転写因子が中心となって遺伝子発現ネットワークを支配している。そういった転写因子を同定することは一つの研究目的である。本研究では、内鞘細胞、師部、根冠細胞のアイデンティティー決定に関わる転写因子を見いだす為のスクリーニングを行なった。まず、細胞タイプ別のトランスクリプトームのデータを用いて各細胞タイプ特異的に発現する転写因子遺伝子を選び出した。これらを、細胞タイプ特異的にGFPを発現するシロイヌナズナに導入し、過剰発現、転写抑制ドメインを融合して発現、転写活性化ドメインを融合して発現を行い、細胞タイプマーカーとなるGFPの発現パターンが変化するかどうかを指標にスクリーニングを行なった。その結果、過剰発現などにより細胞タイプを変える能力を持つ遺伝子を複数見いだした。内鞘細胞については、転写促進ドメイン融合遺伝子の発現により内鞘細胞アイデンティティーマーカーを誘導し、転写抑制ドメイン融合遺伝子の発現により内鞘細胞マーカーの消失と側根形成の阻害を引き起こす遺伝子を見いだした。スクリーニングにおいては、転写因子の細胞間移動の可能性も考え、当初計画よりも規模を大きくして行なった。その他、過剰発現により師部アイデンティティーを調節する能力のある転写因子遺伝子も見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞アイデンティティーを決定する転写因子として、内鞘細胞、師部、根冠細胞のアイデンティティーを決定する能力がある因子をそれぞれ見いだした。植物の発生の仕組みを明らかにする重要な研究になると考えている。IR-LEGO(近赤外線誘導一細胞遺伝子操作系)は既に他の研究者により確立されているが、細胞間相互作用因子や細胞アイデンティティー決定因子を組織内の一細胞レベルで遺伝子操作を行う系を確立する事が植物発生の新たな理解につながると考えて系の確立を進めているが、概ね順調に進んでいる。また、研究協力者との共同で、転写因子ライブラリーを用いた転写因子研究を進めて成果が得られるとともに、広く使える系として確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
内鞘細胞、師部、根冠細胞それぞれのアイデンティティーを決定する能力がある転写因子については、対応する遺伝子の破壊株で表現型が現われない。それぞれについて、良く似た機能の遺伝子が存在する事がわかってきており、多重変異体の作成を進めている。また、これらの遺伝子の遺伝子操作植物を用いてトランスクリプトーム解析を行い、遺伝子間相互作用を解明する予定である。発生における細胞間相互作用の役割を知るために、組織内一細胞遺伝子誘導系を用いる研究においては、遺伝子誘導後に経時的に形態形成を観察する。
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Research Products
(19 results)