2002 Fiscal Year Annual Research Report
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00F00029
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Research Institution | Kobe University |
Host Researcher |
宮川 鉄朗 神戸大学, 理学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
HE C. 神戸大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ナビエ・ストークス方程式 / 初期値問題 / 解の正則性 / 漸近挙動 / 多項式ウェイト |
Research Abstract |
前年度に引き続き,多項式ウェイトの方法によるナビエ・ストークス方程式の解の評価を行った.特に今回は,3次元空間の有限物体のまわりの流れを考察の対象とし,この場合に従来知られていた結果すべてを改良し,ほぼ最良と思われる評価を得ることに成功した.この評価を用いれば,物体のまわりの流れについて,解の正則性に関する十分条件を得ることも可能であるが,これについては,内容的にはこれまでに得た全空間の場合と大きな違いは見出せなかった.そこで今回は,非定常流の無限遠方での漸近挙動を導くことを問題にし,得られた解の積分表示と多項式ウェイトの方法を用いて,漸近展開を導くことを試みた.その結果,非定常流の可積分性とその流れが物体に及ぼす抗力の関係を明確にすることができた.すなわち,流れが可積分であるのは,物体に働く抗力がゼロの場合に限られることが証明できた.また抗力ゼロの流れについては,全空間の流れの場合と類似の形の漸近展開も与えることができた.これらの結果は、論文の形でまとめられ、現在投稿中である.さらにまた,抗力がゼロでない流れの場合にも,抗力を表現する項のみが可積分ではなく,それを引き去った剰余の部分が可積分になる,という形で,解の漸近形を表現することはできる.いずれの場合にも,可積分項は,熱核の導関数を用いて,時間-空間変数の相似形の関数で表される.この結果は,古典的なダランベールの逆理の粘性流体への拡張であるのみならず,より一般の非可積分な流れの漸近形がいわゆる自己相似解で表現されるであろうとの,従来からよく知られた予想にも著しい蓋然性を与えるものであり,また方法論的にもこの予想の解決に向けて何をやるべきかを示唆してくれる.この新しい課題について,受け入れ研究者と特別研究員は,特別研究員の帰国後も,さらに.共同で研究を続けて行くことで合意した.現在研究を継続中である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Cheng He: "Regularity for solutions to the Navier-Stokes equations with one velocity Component regular"Electronic Journal of Differential Equations. 2002・29. 1-13 (2002)
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[Publications] Cheng He: "New sufficient conditions for regularity of solutions to the Navier-Stokes equations"Advances in Mathematical Sciences and Applications. 12・2(掲載予定). (2002)