2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連分子および新規合成物質の超高速過程の時間分解分光による研究
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00F00306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱口 宏夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANDAL Debabrata 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 超高速分光 / フェムト秒 / 蛍光 / ダイナミクス / GFP / レチナール / 溶媒和 |
Research Abstract |
フェムト秒アップコンバージョン分光法を用いて以下の研究を行った。 【1.緑蛍光タンパク発色団分子の高速光ダイナミクスの研究】 緑蛍光タンパクGreen Fluorescenc Protein (GFP)は蛍光顕微鏡による細胞構造研究において最も重要な蛍光プローブタンパクである。よってその物理化学性質を知ることは大変重要であるが、GFPはもちろん、GFPの発色団分子の光化学すらよくわかっていない。そこで、化学合成されたGPF発色団分子の蛍光ダイナミクスをフェムト秒時間分解測定した。昨年度研究したアニオン型に加え、本年度は中性型発色団を取り上げ、その励起状態のフェムト秒ダイナミクスを明らかにした。 【2.ミセル中の溶媒和ダイナミクスの研究】 ナノ空間の溶媒和ダイナミクスはバルクの溶媒和ダイナミクスと大きく異なっていることが知られている。特にミセルにおいては数百ピコ秒の時定数をもつ遅い溶媒和ダイナミクスがあり、興味を集めている。そこで、フェムト秒領域の蛍光ダイナミックストークスシフトを観測し、フェムト秒〜ナノ秒にいたるミセル中の溶媒和ダイナミクスの全貌を明らかにした。 【3.トランス型レチナールの二光子励起蛍光ダイナミクスの研究】 視物質の発色団として有名なレチナール分子の励起状態ダイナミクスには三つの励起状態がかかわっており未だ不明な点が多い。そこで二光子励起を用いて、通常では効率的に光励起できないAg状態へと分子を励起し、その後のフェムト秒緩和ダイナミクスを観測することに成功した。これは二光子励起でフェムト秒蛍光時間分光測定を行ったはじめての例である。 これらの研究についてすでに2報の原著論文を著し、またさらに2報の論文を現在準備中である。また国内・国際学会において研究発表を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] D.Mandal, T.Tahara, N.M.Webber, S.R.Meech: "Ultrafast Fluorescence of the Chromophore of the Green Fluorescent Protein in Alcohol Solutions"Chem.Phys.Lett. 358. 495-501 (2002)
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[Publications] D.Mandal, S.Sohban, T.Tahara, K.Bhattacharrya: "Femtosecond Study of Solvation Dynamics of DCM in Micelles"Chem.Phys.Lett. 359. 77-82 (2003)