2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本ナシにおける果実発育および貯蔵中の果肉細胞壁の生理・生化学的変化
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00F00331
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田辺 賢二 鳥取大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千 種弼 鳥取大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 日本ナシ / みつ症 / スクロース / 細胞壁 / ペクチン / ヘミセルロース / ポリガラクツロナーゼ / β-ガラクトシダーゼ |
Research Abstract |
ニホンサシ'秋栄'は成熟果実にみつ症発生がみられるが、その発生機構は不明なままである。本研究では'秋栄'と同様にみつ症の発生する'豊水'を用い、これらの果肉のみつ症の程度と膜機の能並びに細胞壁組成との関係を調査した。'秋栄'果実の硬度はみつ症の程度が進行するほど低く、その傾向は果肉切片でより明確であり、発生程度5の果肉切片は正常部位の60%の値を示した。一方、果肉切片からの電解質漏出は両品種ともみつ症の程度が進行するほど高くなった。また溶液中へ漏出した糖の主なものは'秋栄'でスクロース、'豊水'ではスクロースとフラクトースであった。両品種とも総脂質含量はみつ症の程度が進むほど低くなったが、この傾向は'秋栄'で顕著であった。両品種の細胞壁成分(EIS)を比較すると、'秋栄'ではみつ症の進行に伴い顕著に低下したのに対し、'豊水'では変化が少なかった。全ペクチン含量について、両品種において健全部位とみつ症発生部位組織の間に有意差はなかった。ヘミセルロース(4%及び24%KOH可溶性分画)は'秋栄'においては'豊水'より高い含量を示した.両品種とも重度のみつ症発生果実では高分子CDTA可溶性ペクチンの脱重合化が起こったが、Na_2CO_3可溶性分画には明らかな分子量の変化はみられなかった。4%KOH可溶性ヘミセルロース分画をSepharose CL-6B-100により分子量分画を行ったところ、両品種とも全糖検出で測定される多糖類には一部低分子化がみられたが、'豊水'の場合キシログルカンには分子量の変化は検出されなかった。両品種の24%KOH可溶性分画についてみると、全糖、キシログルカンとも480kDのデキストランのマーカー付近に一つの広いピークとして溶出され、分子量の変化はごくわずかか、あるいは検出されない程度であった。全般的に見て、'秋栄'は'豊水'より細胞壁結合型のポリガラクツロナーゼとグリニシダーゼ活性が高く、また'秋栄'ではみつ症の進行に伴いβ-ガラクトシダーゼ及びβ-グルコシダーゼ活性が高まった。両品極ともCMCによるセルラーゼ活性に組織間の違いはみられなかった。しかしながら、'秋栄'ではキシログルカンを基質とした活性はみつ症の進行に伴い活性の増加がみられた。両品種とも健全部位とみつ症発生部位には細胞壁構造の違いが観察された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 千 種弼, 田村文男, 田辺賢二, 板井章浩: "ニホンナシ'秋栄'および'豊水'果実のみつ症発生組織における電解質漏出並びに細胞壁構成炭水化物"園芸学会雑誌 別冊1. 71・1. 92 (2002)
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[Publications] 田村文男, 千 種弼, 田辺賢二, 板井章浩: "ニホンナシ'秋栄'のみつ症発生の特徴と新梢剪定による軽減"園芸学会雑誌 別冊1. 71・1. 233 (2002)
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[Publications] 千 種弼, 田村文男, 田辺賢二, 板井章浩: "'二宮白梨'の果実の成熟中の分質化に伴う細胞壁成分の変化"園芸学会雑誌 別冊2. 71・2. 114 (2002)