2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00F00334
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Research Institution | Shinshu University |
Host Researcher |
山寺 喜成 信州大学, 農学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
楊 喜田 信州大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 乾燥地緑化 / 砂漠緑化 / 生態環境の回復 / 自然回帰 / 乾燥地農業 / 乾燥地林業 / 自然修復技術 / 緑化工 |
Research Abstract |
1)土壌を有機物・肥料・土壌改良材、水等と混合し、縦方向に貫通した穴や溝をもつ方形や円形の柱状体土壌ブロックを作成し、これを土壌に埋め種子を穴に播きつけると、根系が地中深くに誘導され伸長するため、乾燥に強く生育が旺盛になる結果を得た。これを「保育ブロック工法」と名付け、その原理を実証した。保育ブロックが保水性、保肥性に優れていることを認め、資材として粘土分が多いものがよい結果を得た。 2)上記の基礎実験の結果に基づき、中国河南省黄河中流域の小浪底ダム付近の荒廃山地で、「保育ブロック工法」の実証実験を行い、本手法が乾燥地緑化の手法として極めて有効であることを認めた。 (1)砂漠化域等の乾燥地においては、これまで「苗木植栽を行い、潅水する方法」が広く行われているが、「保育ブロック工法」は、潅水を行う必要がなく、苗木植栽に比べて経済的である。 (2)「保育ブロック工法」は、天然木のように太く長い根系を発達させるので、気候変動等に対して、枯死し難く、乾燥地に強い群落を造成、また、土砂流出の抑制や山地保水に有効な群落が造成できる。 (3)広大な荒漠地、はげ山、崩壊地、亜高山帯荒廃地、衰退草地などに対する生態環境の再生手法として適用できるほか、農業生産への適用が期待できる。 3)中国の生態環境が危機状態にあることを示す現象として、黄砂の被害、泥の雨、黄河の断流、地下水の枯渇、洪水災害の頻発などが挙げられるが、これらの現象の発生源である地域を対象として、「保育ブロック工法」を2002年10月と2003年3月に適用した。この結果は、2003年10月に明らかになる。この実験では、次のことを期待している。 (1)黄砂の発生源を抑える方法としての有効性。 (2)黄河への土砂流出を抑制するための手法としての有効性。 (3)砂漠化域における生態環境の回復、食糧・飼料生産等の手法としての有効性。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山寺喜成, 楊 喜田, 宮崎敏孝: "播種用生育基盤に関する研究(1)--保育ブロックブの開発--"日本緑化工学会誌. 28・1. 197-200 (2002)
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[Publications] 楊 喜田, 山寺喜成, 宮崎敏孝: "播種用生育基盤に関する研究(2)--保育ブロックブ資材の検討--"日本緑化工学会誌. 28・1. 201-203 (2002)
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[Publications] 山寺喜成, 楊 喜田, 宮崎敏孝: "植栽木と播種木の引き抜き抵抗力の相違について"日本緑化工学会誌. 28・1. 143-145 (2002)
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[Publications] 清水香代, 山寺喜成, 楊 喜田: "堆積泥土の緑化基盤材としての利用方法に関する研究"日本緑化工学会誌. 28・1. 201-203 (2002)