2002 Fiscal Year Annual Research Report
単性発生を用いた貝類の遺伝機構に関する分子遺伝学的研究
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00F00335
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Research Institution | Tohoku University |
Host Researcher |
木島 明博 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
LI Qi 東北大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | エゾアワビ / マガキ / 人為雌性発生 / 人為雄性発生 / マイクロサテライトDNA / 交配実験 / 貝類育種 / 染色体倍加 |
Research Abstract |
貝類の養殖最適品種作成は有用形質の遺伝変異を捉え、遺伝機構を明らかにすることによってなし得る。そのためにはDNA等の遺伝マーカーと形質の関係や形質の効率的分離と固定技術として有効な単性発生技術を駆使した分子育種法の確立が望まれる。本研究課題の研究結果を以下に示す。 1.貝類の遺伝機構解明に必要不可欠であり、本研究の基幹をなすエゾアワビとマガキのマイクロサテライトDNAマーカー座(MS座)の確立:エゾアワビではこれまで登録されていなかったマイクロサテライトDNA多型を単離し、4種類のマーカー座を確立してエゾアワビの高い遺伝的変異性を明らかにした。この成果は国際誌J. Shellfish Researchに掲載された。また、マガキについては9種類MS座の独自に開発し、その成果をTohoku J. Agr. Res.に発表した。 2.次にMS座の遺伝支配:MS座多型が諸形質のマーカーとなるかどうかを明らかにするために、エゾアワビで相互に親が交配する様式の4組の雌雄一対交配を行い、親貝の遺伝子型と子どもの遺伝子型の分離を調べた。その結果、独自に開発した5MS座とクロアワビの5MS座の多型が基本的にメンデル遺伝に従う遺伝様式であることを実証した。また、その中には相当量のヌルアリルが存在するため、集団の遺伝標識として中が必要であることを示した。この成果はJ. Mar. Biotec.に投稿中である。またMS座がベリジャー幼生でも検定できることを明らかにし、養成の家系分析が可能であることを明らかにした結果をFish. Sci.に投稿中である。 3.雌性発生および雄性発生2倍体の人為的作出:雌性発生に関して、紫外線照射による精子の遺伝的不活性化条件についてエゾアワビとマガキで確認すると共に、サイトカラシンBによる第2極体放出阻止型雌性発生2倍体と第一卵割阻止型雌性発生2倍体作出条件を明らかにし、それぞれの人為雌性発生2倍体の幼生をサンプルとして採集した。一方、雄性発生に関しては紫外線照射によるマガキ卵の遺伝的不活性化条件を検討し、雄性発生半数体の作出ができることを明らかにした。また、サイトカラシンBによる雄性発生2倍体の作出条件を検討し、少数ではあるが人為雄性発生2倍体が作出できることを示した。作出された雌性発生幼生の遺伝子型をMS座で調べた結果、雌性発生が成功していることが証明できた。この成果は現在論文作成中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kijima A, Li Q, Park C.: "Development of genetics and breeding in abalone culture"Fisheries Science. 68(印刷中). (2002)
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[Publications] Li Q, C.Park, A.Kijima: "Isolation and characterization of microsatellite loci in the Pacific abalone, Haliotis discus hannai"J. Shellfish Research. 21・2. 811-815 (2002)
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[Publications] Li Q, A.Kijima: "Identification of novel microsatellite loci in the Pacific oyster (Crassostrea gigas) by magnetic bead hybridization selection"Tohoku J. Agr. Res.. 53(1,2). 25-32 (2003)
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[Publications] 李 〓, 木島明博: "中国における沿岸増養殖の現状と問題点"水産増殖. 50(1). 129-132 (2002)