2002 Fiscal Year Annual Research Report
動作と文判断を媒介する'Body schema'に関する研究
Project/Area Number |
00J00722
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 幸子 九州大学, 人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 動作 / 言語 / 発達差 / 自閉症 / 性差 |
Research Abstract |
手の動作が言語処理に影響を与えるという現象についての発達的差異を検証するために,以下2つの実験的研究を行った. 1.定型発達男児と女児の比較研究 動作をあらわす文(例:鏡をみる,ボタンをおす)の記憶に対して(a)実際に自分でその動作を行うこと,(b)他者がその動作をしているところを見ることの効果を,定型発達男児と女児で比較した.その結果,男児も女児も自己の動作の効果が見られ,他者の動作の効果は見られなかった.また,女児の方が男児よりも自己の動作の効果が強いことが確認された.動作と言語の関連の発達的な性差が確認された. 2.自閉症と知的障害と定型発達の比較研究 1と同様の比較を,自閉症と知的障害と定型発達で行った.その結果,知的障害と定型発達では自己の効果が他者の効果よりも強いこと,一方自閉症では自己の動作と他者の動作の差が見られないことが明らかになった.動作と言語の関連の障害による差異が確認された. これらの2つの実験の結果から,自己の動作の優位性は,定型発達女児が一番強く,知的障害・男児,自閉症の順で弱くなることが示唆された.本研究の結果は,自閉症では自己意識が希薄であるという先行研究の知見とあわせて考えると,(a)自己の動作が言語に与える効果は自己意識の発達と関連していること,(b)自閉症での自己意識の障害は自閉症というカテゴリ特有のものではなく,段階的な発達差にもとづくことが示唆された. これらの結果は02年11月日本児童青年精神医学会,03年2月International Neuropsychological Societyで発表され,現在学会誌に投稿準備中である.
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Research Products
(1 results)