2002 Fiscal Year Annual Research Report
量子相転移点近傍における低次元量子スピン系の振る舞い
Project/Area Number |
00J01890
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川口 晃 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子スピン系 / 強相関電子系 / 量子相転移 / フラストレーション |
Research Abstract |
近年の実験技術の進歩に伴い、興味深い物性を示す物質が次々と合成され、低次元量子スピン系や相関電子系に関する研究が精力的になされている。例えば、一次元物質であるSr_2CuO_3やLa_2CuO_3等では興味深い実験結果が多数得られており、また、準一次元の梯子系ではCu_2(C_5H_<12>N_2)_2Cl_4等が盛んに調べられている。最近では、相関電子系における軌道縮退の効果についての研究も注目されている。このような話題に刺激され、軌道縮退のある一次元量子系についてボゾン化法、Bethe仮説法、共形場の理論などの解析的な方法を用いて調べた。 まず、軌道縮退の効果について調べるために上記の方法論を系統的に拡張し、NMR緩和率の一般的な表式を求めた。この結果から、一次元系に外場を加えると、朝永-Luttinger液体特有のべき異常型の温度依存性以外に、量子相転移点近傍でNMR緩和率1/T_1の増大が現れることを示した。さらに、ホールをドープした電子系についての研究も行い、スピン系では現れない電荷自由度がNMR緩和率に大きな影響を与えることがわかった。 次に、スピンギャップがある一次元次元量子系にテーマを拡張し、磁化プラトーや磁化カスプなどの磁場誘起型相転移の転移点近傍で現われる素励起の特異な振舞いについて調べた。この結果から、転移点近傍におけるNMR緩和率の振舞いは、磁化プラトーと磁化カスプの場合で異なることがわかった。 また、フラストレーションを持つ一次元次元量子系に注目し、金属・絶縁体転移近傍における磁気的フラストレーションの効果について厳密対角化や密度行列繰り込み群などの数値的解析方法を用い系統的に研究を行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Akira Kawaguchi: "Magnetization process for a quasi-one-dimensional S=1 antiferro magnet"Physical Review B. 65. 214405 (2002)
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[Publications] Akira Kawaguchi: "Hole-doping effects on orthogonal-dimer spin chain"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1431-1434 (2002)
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[Publications] Akira Kawaguchi: "Magnetization curves of quasi-one-dimensional Haldane systems"Physical Phenomena at High Magnetic Fields IV. 447-450 (2002)
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[Publications] Akira Kawaguchi: "Orbital Order in a Quasi-one-dimensional Spin-orbital model"Journal of the Physical Society of Japan. 71. 3096-3097 (2002)