2002 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン分解菌のプロトカテク酸メタ開裂系酵素遺伝子群の構造・機能・転写制御
Project/Area Number |
00J02068
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
原 啓文 長岡技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Sphingomonas / リグニン / プロトカテク酸 / メタ開裂経路 / LysR-type転写アクチベーター / オペロン構造 |
Research Abstract |
Sphingomonas paucimobilis SYK-6株は、複雑な構造を持つリグニン二量体化合物をバニリン酸およびシリンガ酸へと分解し、さらにPCAメタ(4,5-)開裂経路によって代謝する。本研究では遺伝学的・生化学的な知見がない重要なリグニン分解下流経路であるPCA4,5-開裂経路の全容解明を目的とした。 昨年度までの研究で、SYK-6株のPCA4,5-開裂経路に関わるすべての酵素遺伝子を明らかにした。本年度は、PCA4,5-開裂系酵素遺伝子群の制御タンパク質・ligRの一次構造を明らかにするとともに、そのオペロン構造とプロモーター領域の特定を行い、LigRの機能を推定した。 全PCA4,5-開裂系酵素遺伝子(ligJABC, ligIK)を含む10.5-kb EcoRI断片中のLysR-type転写アクチベーターと相同性を持つ領域の一次配列を決定したところ、1,179bpのオープンリーディングフレームを見いだしligRと命名した。ligR破壊株を構築しバニリン酸およびシリンガ酸での生育を調べたところ、野生株と比べて生育速度の遅れが見られたことから、LigRはPCA4,5-開裂系酵素遺伝子群を正に制御していることが示唆された。また、SYK-6株の全RNAを単離しRT-RCRを行ったところ、SYK-6株のPCA4,5-開裂系酵素遺伝子群はligK-orf1-ligI-lsdAオペロン、ligJABオペロンおよびモノシストロニックなligR、ligCから構成されていることが明らかとなり、それぞれの転写単位上流にプロモーター領域が存在していることを確認した。大腸菌組換え体で高発現させたLigRの精製を行い、ゲルシフトアッセイを試みた結果、LigRがP_<ligR>に結合したことから、LigRがP_<ligK>の転写活性化を担っていることが示唆された。一方、LigRはP_<ligJ>およびP_<ligC>に結合しなかったことから、LigRはこれらのプロモーターの活性化には関与していないことが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hirofumi Hara: "Characterization of the 4-carboxy-4-hydroxy-2-oxoadipate aldolase gene and operon structure of the protocatechuate 4,5-cleavage pathway genes in Sphingomonas paucimobilis SYK-6"Journal of Bacteriology. Vol.185,No1. 41-50 (2003)