2002 Fiscal Year Annual Research Report
イオン化検出赤外分光法によるクラスター内酸解離反応の研究
Project/Area Number |
00J02198
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
渡邉 武史 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超解像顕微鏡 / 2波長2重共鳴分光法 / レーザー走査型顕微鏡 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、物理限界(回折限界)を凌駕する分解能を有する新規の光学顕微鏡の開発を行った。回折限界を突破するための手法として、これまで我々が手掛けてきた2波長2重共鳴分光法を応用することを考えた。気相分子では、第1のレーザー光(ポンプ光)により分子を第1励起状態に励起した後、さらに第2のレーザー光(イレース光)を入射し高励起状態への遷移を起こすと、第1励起状態からの蛍光が抑制されることはよく知られている。通常のレーザー顕微鏡ではポンプ光を集光した回折限界からの蛍光を観測する。この蛍光領域から僅かにずらしてイレース光を入射すると蛍光抑制過程によって蛍光領域が削り取られる。従って2色のレーザー光を用いることで回折限界以下の像、すなわち超解像が実現できる。さらに、実際の測定の際にはイレース光を中空のドーナツ形状をした1次ベッセルビームに変換し、これをポンプ光と同軸でサンプルに照射することにより、ドーナツの穴の部分からの蛍光を観測することにより、超解像顕微鏡の構築をはかった。 サンプルとしてはRhodamine 6Gをドープした蛍光ビーズを用いた。 1μm径のビーズを用いた実験において、ポンプ光のみを照射した時には回折限界である2.5μmの大きさで蛍光像が観測されたが、ここで2色のレーザーを入射すると、ビーズそのものの大きさである1μmの蛍光像が得られた。これは回折限界を2.5倍突破する結果である。さらに、隣接する2個のビーズについても蛍光像の分離が顕著になっており、2点分解能の向上も認められた。 また、175nm径のビーズを用い同様に蛍光像の収縮が観測され、ナノメートル領域での超解像の実現にも成功した。 また、本研究の成果として、論文6報を発表し、特許8通出願した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Watanabe, Y.Iketaki, T.Omatsu, K.Yamamoto, S.Ishiuchi, M.Sakai, M.Fujii: "Two-Color Far-Field Super-Resolution Microscope using a Doughnut Beam"Chem. Phys. Lett.. (in press).
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[Publications] T.Watanabe, M.Sakai, S.Ishiuchi, M.Fujii, Y.Iketaki, T.Omatsu, K.Yamamoto: "Far-field super-resolution scanning fluorescence microscope by using up-conversion-depletion technique"Conference on Lasers and Electro-Optics 2003. (accepted).
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[Publications] A.Hamano, Y.Usuki, T.Watanabe, M.Fujii, Y.Iketaki, K.Yamamoto, T.Omatsu: "Self-stimulating, Transversely Diode-pumped Nd^<3+> : PbWO_4 yellow laser"Trends in Optics and Photonics,(2003). (in press).
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[Publications] 池滝慶記, 渡邉武史, 酒井誠, 石内俊一, 藤井正明, 尾松孝茂, 山元公寿: "2色レーザー光を用いたナノ空間超解像蛍光計測法"表面学会. (in press).
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[Publications] Y.Iketaki, T.Watanabe, S.Ishiuchi, M.Sakai, T.Omatsu, K.Yamamoto, M.Fujii, T.Watanabe: "Investigation of the fluorescence depletion process in condensed phase"Chem. Phys. Lett. (in press).
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[Publications] Y.Iketaki, T.Watanabe, S.Ishiuchi, M.Sakai, T.Omatsu, K.Yamamoto, M.Fujii: "Predicted spatial resolution of super-resolving fluorescence microscopy using two-color fluorescence dip spectroscopy"Appl. Spectrosc.. (submitted).