2002 Fiscal Year Annual Research Report
リドベルグ原子を用いた宇宙由来アクシオンの探索と微細スペクトル構造の研究
Project/Area Number |
00J02700
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷山 智仁 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクシオン / リドベルグ / 原子 / シュタルク効果 / 分極率 / フィールド / イオン化 / トンネル効果 |
Research Abstract |
今年度、アクシオン探索に用いる共振空洞のトランスバースマグネティックモードの分布を計算機シミュレーションにより精密に調査した所、アクシオンのマイクロ波光子への転換効率とリドベルグ原子でのマイクロ波光子のえ検出効率の両方を大きくする要請から、転換空洞と検出空洞の間の結合部を用いない物への変更を余儀なくされ、大幅な改造を行った。それにともなって、検出空洞の直上に存在した超伝導ニオブの超伝導マイスナー効果による磁気遮蔽効果が失われ、検出空洞内部への磁気侵入が非常に大きくなるため、円筒状のニオブを製検出空洞から転換空洞の外壁に設置し、かつニオブチタン積層板を用いて磁気遮蔽を行う必要があるという結論に至った。この効果をコンピューターにより数値シュミレーションを行い、シュタルク電極内部でのリドベルグ原子の飛行部分の磁場の大きさが0.1ガウス程度まで低下させることを目標に設計し、それをCARRACK2装置内部に実装した。この磁気遮蔽装置を実際にヘリウム温度まで冷却しCARRACK2装置の超伝導磁石を励磁した段階においても、測定の誤差の範囲内で有意な磁場の変化は見られず、磁気遮蔽効果が予定の性能を発揮していることを確認した。また、アクシオン探索の効率の向上を目指して、原子磁気双極子モーメントと6重極磁場との相互作用を用いた中性ルビジウム原子の収束および速度弁別効果を測定する計画を立て、試験したところ、結果として約3倍の強度の増加を得るに至った。さらに、前年度に確立したS状態とP状態の分難の方法を、リドベルグ原子の飛行長の変化と速度弁別の有無に対して調査し、リドベルグ原子と基底状態ルビジウム原子との衝突によって分離の度合いが悪化することが確認された。その悪影響を避けるべく、原子ビームチョッピングを計画した。
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