2002 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンへのエナンチオ選択的なカチオン性置換基の導入
Project/Area Number |
00J04237
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 裕子 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アンモニウム塩 / クロロメチルメチルエーテル / ジアミン / メチレン化 / ワンポット / スピロ骨格 / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、ルイス酸で活性化したキラル脱離基を利用した、エナンチオ選択的なオレフィンへの求電子付加反応について研究を行なってきた.この方法を利用し、シリルエノールエーテル及び単純オレフィンへの高エナンチオ選択的ヒドロキシメチル化反応、テルペンのエナンチオ選択的分子内環化反応を既に報告している。 これらの研究を基に、脱離基としてアンモニウム塩を用いた新しい反応をデザインし研究を進めたところ、新たな反応を発見、開発することに成功した。 その反応とは、クロロメチルメチルエーテルとジアミンの塩により反応系中でシクロケトンのα位をメチレン化し、続いて系中でジエンとDiels-Alder反応を行い、ワンポットでスピロ骨格を持つケトン(スピラノン)を合成するというものである。反応はおそらく、クロロメチルメチルエーテルとジアミンによる塩の形成、その塩とケトンによるエナミンの発生、α-メトキシメチル化、メタノールの脱離、それにより発生したα-exo-メチレンシクロケトンのイミニウム塩とジエンとのDiels-Alder反応の数ステップが系中で起こっていると予想される。 この反応の利点は、1)不安定なα-exo-メチレンシクロケトンを単離する必要がないこと、2)実験操作は全ての反応剤をシールドチューブに入れて撹拌、加熱するだけと非常に容易であること、3)クロロメチルメチルエーテルやジアミンなどの反応剤が、安価な市販の試薬であること、4)最初のステップ(メチレン化)で利用したジアミンが、次のDiels-Alderのステップでも重要な役割を果たしていることがわかったため、キラルなアミンを使うことにより不斉反応への展開が期待されることである。 また、この方法を利用して天然物acoradieneの形式合成も行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakamura, H., Ishihara, K., Yamamoto, H.: "Lewis Acid-Activated Chiral Leaving Group : Enantioselective Electrophilic Addition to Prochiral Olefins"The Journal of Organic Chemistry. 67・15. 5124-5137 (2002)
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[Publications] Nakamura, H., Yamamoto, H.: "α-Methylenation/Diels-Alder Tandem Reaction Promoted by Ammonium Salts Generated in Situ from Secondary-Tertiary Diamines and Alkoxymethyl Chlorides"Chemical Communications. 15. 1648-1649 (2002)