2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00J04288
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松永 健一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子雲 / スーパーシェル |
Research Abstract |
私は「スーパーシェルに付随する分子雲の観測的研究」という課題について研究を行ってきました。これまでに名古屋大学4m電波望遠鏡「なんてん」を用い、銀河系第4象限に対する12CO(J=1-0)スペクトルによる広域なサーベイ観測を行い、この結果8個のスーパーシェルの検出に成功しました(Matsunaga et al. 2001)。 本年度はこれまで行った研究の成果と、最近行われた中性水素原子ガス(HI)の観測によるスーパーシェルの研究と比較することにより、我々が分子雲の観測から検出したスーパーシェルが、銀河系におけるスーパーシェルの進化のどの段階に位置しているのかについて研究を行った。この結果、分子雲のスーパーシェルはHIのスーパーシェルに対して、小さく、inner Galaxyでより多く、また、渦状腕に付随していることが明らかになった。これは、渦状腕で形成された星団での複数回の超新星爆発によって作られるスーパーシェルにおいて、比較的若い進化段階においては分子雲の付随が顕著であるため分子雲の観測が、その検出に有効であることを示している.また、銀河中心から離れた領域においては、もともと分子ガスの存在量が少ないため分子雲の観測からは検出されにくく、HIの観測が有効であることが明らかになった。 銀河系における、分子雲およびHIによって検出されたスーパーシェルの個数は、理論的に見積もられる数よりも少ないことがわかった。これは、スーパーシェルの検出がその形状からのみであるので、そのすべてを検出することが非常に困難であることを示している。
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