2002 Fiscal Year Annual Research Report
温度ジャンプNMRによるタンパク質フォールディング研究の新展開
Project/Area Number |
00J04867
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川上 勝 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質 / フォールディング / マイクロ波 / 温度ジャンプ |
Research Abstract |
前年度までにマイクロ波温度ジャンプNMR装置の開発は終了している。 14年度の研究では、タンパク質の低温変性状態から天然状態へのフォールディング過程を追跡するため、NMRプローブ内において安定した低温状態を長時間実現させる装置の開発を新たに進め、これを完成させた。これらの装置を用い、βラクトグロブリンの低温変性状態からの温度ジャンプNMRスペクトル、そして低温変性状態-天然状態間の状態相関2次元NMRスペクトルを測定することに成功し、フォールディング過程をNMRという原子レベルにおいて追跡する事に成功し、さらに変性状態そのものの構造の知見についても得ることが可能となった。さらに、この低温変性状態-天然状態へのフォールディング過程を、NMRだけでなく、他の分光法においても測定し、お互いに相補的な情報を得る事でさらにこの過程を詳細に調べることを目指し、温度ジャンプCD(円偏光2色性)、温度ジャンプ蛍光法を開発した。そして実際に温度ジャンプNMRと全く同じ時間スケールでフォールディングを追跡することに成功した。これによりより現在これらの結果をまとめた論文を投稿準備中である。 その一方で、新たに測定装置、特にタンパク質フォールディング測定における新装置開発の手腕を磨くべく、研究代表者はフォールディング研究の分野で高名なSheena Radford教授(LEEDS大学、英国)の元へ行き、装置開発のノウハウを教わり、イギリスでのフォールディング研究に関する学会に積極的に参加し、本分野の現状、発展性についての学識、知見を広めた。
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