2002 Fiscal Year Annual Research Report
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00J05703
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
日比谷 和明 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 畜産系排水 / 排水処理 / 生物膜 / 硝化細菌 / 脱窒細菌 / 生物学的窒素除去 / 浄化システム / メンブレンエアレーション |
Research Abstract |
本研究では中空糸メンブレンを酸素供給素材および微生物固定化担体として用いるメンブレンエアレーション法を提案している。この手法を用いることで生物膜内における局所的環境条件を制御でき,硝化菌と脱窒菌を棲み分けさせ,単一槽内で硝化・脱窒反応を同時に行うことが可能となる。 今年度は,メンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクタ(MABR)を用いて高濃度に窒素成分を含む低C/N比排水からの有機物・窒素同時除去試験を行った。また,反応場である生物膜内の解析を微小電極およびFluorescence in situ hybridization(FISH)法を用いて行い,窒素除去経路の考察を行った。 C/N比が極めて低い畜産排水を対象に実験を行った結果,約1年間の運転によりMABR形成した生物膜の厚みは約160μmにも及んだ。溶存酸素(DO)の浸透深さは約300μmであり,嫌気的部位が広くアンモニアなどの基質拡散律速を起こす可能性が懸念されるものの,供給された酸素が全て生物膜内で消費されていることが示唆された。次にFISH法により,メンブレン表層付近に独立栄養細菌であるアンモニア酸化細菌(AOB)が,生物膜の外側に他の細菌(従属栄養細菌)が存在していることを確認した。以上より生物膜内において局所濃度の違いにより微生物間の棲み分けが起こっていることが示唆された。 MABRは空気圧により酸素移動速度を制御することが可能であるため,表面積当たりのアンモニア除去速度の値を用いることでアンモニア酸化細菌(AOB)が供給した酸素をどれだけ利用しているかを算出することが可能である。本研究のリアクタにおいてAOBは供給酸素の86%を利用していることが計算により示唆された。残りの14%を亜硝酸酸化細菌が仮に利用したとしてもこのリアクタの窒素除去経路の半分以上は亜硝酸を経由する脱窒であることが化学量論的評価から明らかになった。中空糸メンブレンから生物膜への酸素供給を制御することにより,MABRを低C/N比排水に有効利用できることが期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Hibiya, A.Terada, S.Tsuneda, A.Hirata: "Simultaneous Nitrification and Denitrification by Controlling Vertical and Horizontal Microenvironment in a Membrane-Aerated Biofilm Reactor"Journal of Biotechnology. Vol.100, No.1. 23-32 (2003)
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[Publications] A.Terada, K.Hibiya, J.Nagai, S.Tsuneda, A.Hirata: "Nitrogen Removal Characteristics and Biofilm Analysis of a Membrane-Aerated Biofilm Reactor Applicable to High-Strength Nitrogenous Wastewater Treatment"Journal of Bioscience and Bioengineering. (印刷中).
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[Publications] 寺田昭彦, 日比谷和明, 常田聡, 平田彰: "中空糸メンブレンを用いた新しい水処理技術"水処理技術. (印刷中).