2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00J06249
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
金田 亮 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究院(DC1)
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Keywords | キネシン / 運動特性 / Stall force / Brownianモデル / Processivity / hand-over-hand |
Research Abstract |
conventionalな双頭キネシンは生体内で神経伝達物質の輸送を担うタンパク質分子機械である。このモーターは、ATP加水分解反応で得られた化学的なエネルギーを用いて微小管の上を一方向にかつ、Processiveに進み仕事をする。しかし、どのようにしてその運動を実現しているのか、メカニズムは今だ不明である。そこで、近年このメカニズムの解明を目指して様々な理論モデルが立てられている。そのタイプの代表的なものとして、分子モーターをモーターと微小管レールの間の相互作用を反映した1次元周期ポテンシャル中をBrownian運動する一つの質点もしくは、その集合体と見なすモデルがある。この内、分子モーターを2自由度以上のBrownian質点と捉えたモデルとして、Peskinモデル(1995)、Derenyiモデル(1996)、Stratopoulos(1999)、Foxモデル(2000)等のモデルが存在する。しかし、これらのモデルにおいては、次の二つの問題点が存在する。:(1)分子モーターがレールから解離する可能性を考慮に入れていないので、キネシンのProcessivityに関する議論ができない。(2)実際の実験で観測されている、キネシンのStall forceのATP濃度依存性が再現できていない。 そこで私は、キネシンヘッドがレールから熱的に解離する可能性を考慮に入れた3自由度系の「新しいBrownianモデル」を構築した。そして、実際のキネシンを考慮して適切と考えられるモデルパラメーターを適用し、モデルをLangevinシミュレーションにより解析する事で、以下の結果を得た。1)キネシンのProcessivityを定性的に再現する事ができた。:レールから解離するまでの平均進行距離は、ATP濃度の増加と共に上昇し、外力の増加共に、減少する。2)キネシンのstall forceのATP濃度依存性を再現できた。3)キネシンの歩行様式は、inch-worm型より、hand-over-hand型である可能性が高いことを示した。
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