2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホモアリル-ホモアリルラジカル転移反応を用いる架橋ジテルペン類の合成研究
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00J06297
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
横田 正宏 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルコキシラジカル / テトラヒドロフラン / 水素転位 |
Research Abstract |
有機化合物の合成においてラジカル反応はよく用いられる手法であり、現在数多くの方法論が提示されている。その中でアルコキシラジカルを用いるラジカル反応は、その高い反応性を利用することで水素引き抜き反応(Barton反応)による新たなラジカルの発生や、フラン環などの合成を行うことができることから近年盛んに利用されている反応のひとつである。しかしながら酸素-水素結合の高い結合エネルギーが原因で、これまで水酸基から直接アルコキシラジカルを発生させる方法はなく、水酸基を一度酸素-ヘテロ原子結合へと変換した後に結合をホモリティックに開裂させるという手法がとられてきた。 今回私はラジカル転位反応を鍵反応とする生理活性天然物の合成に際し、分子内のビニルラジカルの作用によりアルコキシラジカルを水酸基から直接発生させることができるという画期的な反応を見出した。すなわちγ-ヒドロキシビニルブロミドに対しラジカル反応を行うと、水酸基の水素がビニルラジカルへと1,5-水素転位をし、生じたアルコキシラジカルがオレフィンと反応することによってテトラヒドロフラン化合物が得られるというものである。 種々の側鎖を有する化合物でラジカル反応を行ってみたところ、反応の収率は置換基効果を大きく受けることが分かり、置換基が多いほど収率がよいという結果が得られた。これは生じるアルコキシラジカルの反応性が高いために、反応点の接近しにくい化合物ほど副反応が進行したためであると考えられる。一方、水酸基のβ位に電子求引基を持つような化合物からはテトラヒドロフランは得られず、アルコキシラジカルのβ開裂によって生じたと考えられるアルデヒド体が得られた。
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Research Products
(1 results)