2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00J06311
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相澤 幸治 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 陥没カルデラ / マグマ系列 / 時空変遷 / Sタイプマグマ / カルデラクラスター / 東北本州弧 |
Research Abstract |
本年度は,陥没カルデラ火山活動の時空変遷に重点を置いて研究を行った.東北本州弧では後期中新世から鮮新世にかけて脊梁地域を中心に陥没カルデラ火山活動が生じた.陥没カルデラ火山の噴出物は主として大規模軽石流堆積物よりなる.軽石流堆積物より軽石のガラスのみを取り出し,蛍光X線分析で全岩化学組成を測定した.その結果,5.8±0.5Maを示す院内複合カルデラ第一期は高カリウム系列のマグマであることが分かった.東北本州弧の背弧側に位置するカルデラの開始時期およびマグマ系列をレビューしたところ,会津(8Ma;高カリウム系列),栗駒(6Ma;高カリウム系列),仙岩-太平山(7Ma;高カリウム系列),八甲田(3.5Ma;高カリウム系列)と開始年代にばらつきはあるが,ほぼ全てのカルデラクラスターで活動初期に高カリウム系列流紋岩質マグマが噴出したことが明らかとなった.東北本州弧の高カリウム系列流紋岩質マグマは高K, Al, Si, Ba,低Ca, Na, Mg, Zrで特徴付けられる.地殻物質の溶融実験の結果などと対照すると,泥質岩が起源物質として推定され,苦鉄質岩を起源物質とすると考えられる第四紀のカルデラ噴出物とは明らかに異なる.噴出物の斑晶砿物も高カリウム系列流紋岩質マグマでは斜長石+石英+黒雲母+チタン鉄鉱±カリ長石±角閃石であり,第四紀の低〜中カリウム系列流紋岩質マグマが示す,斜長石+斜方輝石+普通輝石±角閃石±石英+磁鉄鉱とは異なる.第四紀のカルデラ噴出物はその斑晶砿物組み合わせや化学組成から,Iタイプ花崗岩質マグマであり,また斑晶鉱物が示すマグマ溜りの深さも10-20kmを示す.一方,後期中新世から鮮新世にかけて噴出した高カリウム系列流紋岩質マグマは石英+カリ長石+斜長石の共晶点に達したSタイプ花崗岩質マグマであり,深さも3-8kmと浅所貫入型である.
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