2002 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的運動情報処理におけるボトムアップとトップダウンの交互作用について
Project/Area Number |
00J06349
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Research Institution | Chiba University |
Research Fellow |
迎 いくこ 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 運動情報処理システム / 色 / 輝度 / local motion / global motion |
Research Abstract |
色情報が運動処理システムにおける役割を考察するためにバーバーポール現象を利用し一連の実験を行ったが、その際被験者には物理的に等輝度に設定した赤と緑の格子縞刺激を輝度によって規定された格子縞刺激とともに呈示した。しかし網膜上の錐体の分布状況は各被験者によって違うため、物理的には等輝度の色によって規定された格子縞が実際には輝度情報を含んでいるのではないかという指摘がありこれを元に、各被験者の主観的等輝度点を本実験の前に計測するという手続きを新たに加えた。本実験に使用したものと同じ赤と緑の色で規定された格子縞を用い、被験者が赤と緑の正弦波のそれぞれの振幅を調節できるようにした。被験者にはこの色で規定された格子縞刺激が止まって見えるよう調節するように教示し、この結果をもとに本実験で使用する色の格子縞を各被験者ごとに設定した。またこの主観的に等輝度な格子縞刺激に5%または10%の輝度情報を付加し、その場合被験者がより色の格子縞刺激に影響を受けるかどうかを見るというコントロール実験も本実験とともに行った。 また別の一連の実験では、小さい領域内における一方向の運動(local motion)と広範囲における全体的な運動(global motion)の課題と無関係な学習効果を検討するために、これらの運動刺激とともにアルファベットと点滅する2つの赤い点を呈示し、学習期間中被験者はターゲットとなったアルファベットと赤い点の方向を正しく答えるという課題を与えられたが、課題遂行中local motionとglobal motionにさらされた。この時低次で処理されていると思われるlocal motionの学習は進行しその効果は長期間(約6ヶ月間)持続したが、高次で処理されると思われるglobal motionの学習効果は見られなかった。これよりlocal motionの学習は受動的な条件下でも進行するが、global motionの学習効果を得るためには能動的な条件が必要であることが示唆される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Watanabe T., Nanez JE., Koyama S., Mukai I., Liederman J., Sasaki Y.: "Greater plasticity in lower-level than higher-level visual motion processing in a passive perceptual learning task"Nature Neuroscience. 5(10). 1003-1009 (2002)