2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00J06506
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Research Institution | Okayama University |
Research Fellow |
美馬 伸治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA複製 / 酵母 / ATPase / 真核生物 / ORC / 複製開始因子 |
Research Abstract |
真核生物の染色体複製開始因子であるORCのうち、Orc1pサブユニットにはATPase活性があることが報告されている。このATPase活性がORCの複製開始活性にどのような役割を果たしているか未解明である。そこで、Orc1pのATPase活性の複製反応における役割を明らかにすることを目的に実験を開始した。これまでの研究で、Orc1pのATPase活性のモチーフに変異を導入した変異Orc1蛋白質は、酵母細胞を劣勢の細胞死に導くことが示された。そこで、試験管内での実験にむけて野生型ORCおよび、変異ORC(ORC1-D, ORC1-A, ORC5-A)の精製を行った。その結果、生化学的な実験に十分なORC蛋白質を得ることに成功した。 ORCのATPase活性を測定するためには、ORCとATPの親和性について明らかにする必要がある。そこで野生型ORCと変異ORCのATP結合活性をfilter binding assayによって調べた。その結果ORC1-D, ORC1-Aは野生型のORCほぼ同程度のATP結合活性があることがわかった。一方、ORC5-AはATPとの結合活性が減弱していることが示された。野生型、ORC1-D, ORC1-AおよびORC5-AのKd値は3nM,4nM,2nMおよび1470nMであることがわかった。つぎにORCのATP結合活性におけるDNA(ARS配列)の影響を調べた。その結果、DNA(ARS配列)を結合させることによって、野生型ORCのATPの結合サイト数が増加することが示された。この結果はこれまでの報告と一致する。 以上の結果から、ORCとATPの結合活性を定量的に測定する実験系を確立することに成功したこと、および、野生型ORC蛋白質と種々の変異ORC蛋白質が活性を保った状態で精製できたことが示唆された。今後は精製できた野生型ORC蛋白質と種々の変異ORC蛋白質のATPase活性の詳細について、生化学的手法を用いて解析する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Mima, S et al.: "Conserved nydrophobic amino acid residues in the N-terminal region of DnaA protein are involved in DnaA-DnaA interaction"Biochem. J.. 365. 881-887 (2002)
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[Publications] Makise, M et al.: "Biochemical analysis on DnaA protein with mutations in both Arg328 and Lys372"Biochem. J.. 362. 245-256 (2002)
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[Publications] Koterasawa, M et al.: "Mutational analysis on conserved hydrophobic amino acid residues in the N-terminal region of DnaA protein"Biol. Pharm. Bull. 25. 913-915 (2002)
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[Publications] Makise, M.: "phospholipids inhibit the DNA binding activity of DnaA protein, the initiator of chromosomal DNA replication in Escherichia coli"Mol. Microbiol. 365. 245-256 (2002)