2002 Fiscal Year Annual Research Report
テンサイの細胞質雄性不稔性に働く稔性回復核遺伝子の単離と機能解析
Project/Area Number |
00J07166
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
萩原 栄揮 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テンサイ / 細胞質雄性不稔性(CMS) / 稔性回復核遺伝子(Rf) / ポジショナルクローニング |
Research Abstract |
本研究ではテンサイの細胞質雄性不稔性(CMS)に働く稔性回復核遺伝子(Rf)を標的としたポジショナルクローニングを進めている。テンサイCMSの稔性回復には2つの独立な補足遺伝(XおよびZ)が働くことが知られているが、前年度までの研究により、X遺伝子座周辺のマッピング、およびBACクローンを用いたX遺伝子近傍領域の物理地図の作製が終了した。よってX遺伝子についてのポジショナルクローニングを本格的に進めることが可能である。これらの成果を基に本年度は以下の実験を実施した. 1 X遺伝子座の絞り込み これまでのところX遺伝子座は両側に位置する分子マーカーによって大凡600kb (遺伝距離3cM) の領域に限定されているが、今後の遺伝子同定を考えて更なる遺伝子座の絞り込みを計画した。新規育成した509個体からなる花粉稔性分離集団に分子マーカーを適用して、X遺伝子近傍領域での遺伝的組換えを生じた13個体を選抜した。これらの組換え個体について、計12種の分子マーカーを用いて遺伝子型を調査し、表現型と合わせて各々の交叉点を判別した結果、X遺伝子座は最終的に2種のBACクローン (33E19および9C23) によって完全にカバーされる約300kbの範囲に限定されることが明らかとなった。 2 X遺伝子座のシーケンス解析 300kbまで限定された候補領域にどのような発現領域が座乗するのか明らかにするため、全塩基配列の決定を進めている。33E19クローンについては全長(220kb)を対象としたショットガンシーケンスを計画し、これまでのところ約200kbの範囲についてシーケンスを決定した。現在、存在する8ヶ所のgap closingを行っている。 9C23クローンについては、33E19クローンとの重複をさけるため、コスミドベクターを用いたサブライブラリーを作製し、選抜したコスミドクローン4F1についてのショットガンシーケンスを行った。36kbの塩基配列決定が終了し、残る1つのgapについてclosingを進めている。今後はシーケンスを完成させると共に、予測される発現領域についての特徴付けを進める必要がある。
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Research Products
(1 results)