2002 Fiscal Year Annual Research Report
軸性キラル試薬を用いた非経験的絶対配置決定法の開発に関する研究
Project/Area Number |
00J07169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 博喜 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 絶対配置決定法 / 軸性キラル試薬 / NOE / NMR / フッ素化合物 / 含フッ素ビルディングブロック / ジフルオロオレフィン / ケイ素化合物 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、(1)新機軸性キラル試薬2'-methoxy-1,1'-binaphthalene-2-carbohydroximoyl chrolideを用いたキラルアルケンの絶対配置決定法、(2)2'-methoxy-1,1'-binaphthalene-8-carboxylic acidを用いたキラル第2級アルコール、キラルアミン、β-キラル第一級アルコールの絶対配置決定法、(3)2'-methoxy-1,1'-binaphthalene-8-carbaldehydeを用いたキラルジオールの絶対配置決定法、をそれぞれ確立した。これらの方法はNOE観測を中心としたNMR実験により絶対配置を決定するものであるが、試薬自身のプロトンがNOE相関を持つため、検出が期待されるNOEの強度が相対的に弱くなるという欠点があった。こうした問題を解決するために、試薬の水素原子をフッ素原子に置き換えることでNOEが強く観測されるのではないかと考えた そこでまず、含フッ素化合物を効率よく合成するために含フッ素ビルディングブロックの構築を目指し、1-trifluoromethylvinylsilaneを鍵化合物とするgem-ジフルオロアルケンの新規合成法を開発した。(i)シリル基のα-アニオン安定化効果により1-trifluoromethylvinylsilaneと求核剤から2,2-difluorovinylsilaneへ至るS_N2'反応を促進し(Nu導入)、続いて(ii)生じたビニル位のシリル基と求電子剤との置換反応を行う(E導入)ことで、各種gem-ジフルオロアルケンの合成法を確立した。さらに、この2段階の反応がone-potで行えることも示した。 今後は、この方法を使って絶対配置決定のための試薬にフッ素を導入し、それを用いて種々のキラル化合物の絶対配置決定法を確立する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ichilawa, J., Ishibashi, Y., Fukui, H.: "A novel synthesis of functionalized 1,1-difluoro-1-alkenes via isolable 2,2-difluorovinylsilanes"Tetrahedron Letters. 44(4). 707-710 (2003)