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2002 Fiscal Year Annual Research Report

幼児における認知メカニズムとその発達過程

Research Project

Project/Area Number 00J07965
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

村上 泉 (上原 泉)  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)

Keywords対話 / 幼児 / エピソード記憶 / 小学生 / 乳幼児健忘
Research Abstract

今年度は,3,4歳頃に生じる,記憶をはじめとする認知発達の変化が,乳幼児健忘(我々成人がある一定の乳幼児期を意識的に思い出すことがほとんどできないこと)に,どのように関与しているのかを,次の手法により検討した.第一に,同年齢の集団における幼児の対話場面を記録し,その形態の年齢による違いを,調べた.第二に,縦断的な調査に力を入れ,日常的に,子どもが自分の過去をどうとらえ,語るのかを分析した.その結果,次のようなことが明らかになった.
まず,幼児の対話分析から次のことが示された.3,4歳頃は,5,6歳頃と比較して,他者に対する働きかけが少なく,言葉以外の,行動を中心とする非言語的な発信が多いことがわかった.しかも,他者の発信に対して応答しようとする意思も3,4歳では,5,6歳よりもかなり低いことが示された.3歳では他者の発言に応答したとしても,その多くが模倣という形であり,4歳との差が見い出された.次に,子どもの過去の語りに関する分析により,次のことが示された.小学生になると,小学校入学前の出来事について,想起できる量は圧倒的に減るが,いくつかの印象的な出来事については,語ることができる.その出来事は,遡っても,3歳頃までであることが示された.小学生になると,過去の自分の行動について,評価する発言が増えてくる様子もわかった.
以上の調査より,3,4歳が,後の記憶の想起の際の,境界年齢になっているばかりではなく,日常的な対話場面においても,変化が生じる時期であることが明らかとなった.ただし,3,4歳頃までしか遡って想起できないからといって,その過去への認識は,発達的に変化しないわけではなく,小学校入学などの大きな社会生活上の変化に応じて,自己の過去への認識が,大きく変わる可能性についても指摘できた.

URL: 

Published: 2004-03-26   Modified: 2021-09-24  

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