2002 Fiscal Year Annual Research Report
医学教科書を通して見る17世紀オランダにおける機械論的生理学の展開
Project/Area Number |
00J08263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 栄男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オランダ / 機械論 / 生理学史 / デカルト / フェルネル / ベークマン |
Research Abstract |
1.Leiden大学設立から17世紀末にかけてのネーデルラント諸大学の医学教授たちの学歴・職歴を調査した.それらのパターンを持っていて,大学教授になるための暗黙のコースがあったことが推定される.また,医学を専門に入ってきた教授と,哲学研究から医学に入ってきた教授とがあり,前者が比較的伝統的なルネサンス生理学を踏襲していったのに対し,後者の人々が積極的にデカルトの影響を受けた機械論的生理学を支持したという特徴を持つことが解った. 2.Beeckmanの生理学思想は,近代初期原子論の基本的特徴である.既存の理論について機械的説明(即ち原子の位置・形・運動・配置によって事物の仕組みを説明すること)を,当時一般的であったルネサンス生理学に応用したものであることが解った. 3.16世紀から17世紀にかけての医学入門書約20冊の構成を比較検討して,当時の生理学がフェルネルに由来するルネサンス生理学の構成から,オエコノミア・アニマリス型の生理学の構成の一部が肥大化する過程であることが確認された.この結果は論文「16-17世紀のルネサンス生理学と機械的生理学の構成」として発表された. 4.生理学の内容の変化の一例として胃での消化の問題を取り上げた.そこでは伝統的な熱による消化という見解がデカルト主義者によって機械論的に説明され,かつ化学の影響が取り入れられていくことが解った.この結果は論文「デカルトと胃での消化」として発表された.
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Research Products
(2 results)