2002 Fiscal Year Annual Research Report
岩石学・構造地質学的手法による三波川変成帯発達過程の解明
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00J09434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 敦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 三河川変成帯 / 角閃石 / 組成累帯構造 / ギブス法 / マイクロブーディン / 反応進行度 / 活動度モデル / 歪みの増分 |
Research Abstract |
西南日本に露出する三波川変成帯の塩基性片岩の温度圧力経路と歪みの増分を定量化し対応させた。塩基性片岩中に一般的に存在する角閃石という鉱物の組成変化を電子プローブ顕微鏡を用いて詳細に分析し、熱力学的な解析によって温度圧力経路を推定した。その結果、1.変成帯の上昇期の経路を記録していること、2.変成度が高くなるにつれて最高温度圧力は徐々に高くなること、3.曹長石黒雲母帯では高温部(500度以上)では温度圧力経路のdP/dTが大きいのに対して、のちの低温部ではdP/dTが小さいということが明らかとなった。 角閃石は塩基性片岩の中で剛体として振る舞い、結晶の長軸方向に垂直に脆性破壊し、引き伸ばされる。このマイクロブーディン組織を用いて歪み解析を行った。割れた隙間を埋めている角閃石の組成から、変形は400-500度,0.3-0.6GPaという変成帯の上昇における後期に対応していることが分かる。その歪みの増分は自然対数歪みで最大1.0である。マイクロブーディン組織は岩石全体の歪みを必ずしも反映しているとは限らない。本研究では新たに独立な指標として後退変成反応の進行度を測定して、変形との関係を調べた。塩基性片岩の反応進行度はマスバランスの関係から、Xact(角閃石の中でアクチノ閃石の占める割合)によって代表させることが出来る。このXactを組成マップを用いて画像解析をすることによって定量化した。歪み解析との対応から、アクチノ閃石を生成する後退変成反応が進むにつれて塩基性片岩の変形が進行することが明らかとなった。また、四国別子地域におけるXactの空間分布より、ザクロ石帯とザクロ石帯-曹長石黒雲母帯の境界部が上昇の後期において非常に変形が集中していたことが示された。
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