2002 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳制御への関与が期待される新規GTP結合タンパク質GSPT/eRF3の機能解析
Project/Area Number |
00J09549
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 哲夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 翻訳終結 / GTP結合タンパク質 / mRNA分解 / グアニンヌクレオチド |
Research Abstract |
真核生物における翻訳終結因子GSPT/eRF3は、C末端側領域に翻訳伸長因子EF1αに類似のGTP結合ドメインをもつGTP結合タンパク質である。GSPTは、翻訳終結因子eRF1と結合し翻訳終結反応を制御することが知られているが、mRNA 3'末端poly(A)尾部に結合するpoly(A)-binding protein(PABP)やNMD(Nonsense mediated mRNA decay)に関与するUpflpと相互作用しmRNAの分解過程も制御することが明らかになりつつある。 私はこれまでに、出芽酵母においてGSPTとeRF1、GSPTとPABPが結合することをin vitro結合実験及び免疫共沈実験で示した。さらに私は、GSPTとeRF1の結合がGSPTのグアニンヌクレオチド型で制御されること(GTP型で結合し、GDP型で乖離する)、及びGSPTとPABPの結合はGSPTのグアニンヌクレオチド型非依存的であることを示した。 本年度は、以上を踏まえて実験を行い、以下に記す知見を得た。 1)出芽酵母におけるGSPTとUpflpの結合は、GSPTのグアニンヌクレオチド型非依存的であった。 2)野生型及びGTP結合ドメイン変異型GSPTを形質転換した出芽酵母株を作製し、その株における翻訳終結反応を検討した結果、GTP結合ドメイン変異型GSPT発現株において翻訳終結反応の異常が見られた。 3)上記の株を用いてmRNA分解を検討した結果、PABPとの結合を介して制御される通常のmRNA分解経路、Upflpとの結合を介して制御されるNMD経路共にGTP結合ドメイン変異型GSPT発現株において異常が見られた。 以上の結果から、GSPTはそのグアニンヌクレオチド型の変換により翻訳終結反応と2つのmRNA分解経路を制御していることが明らかとなった。
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