2002 Fiscal Year Annual Research Report
貫入岩体における固液分離の物理化学過程とその時間変化
Project/Area Number |
00J09685
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 玲子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 板状貫入岩体 / マグマ溜まり / 組成対流 / 境界層分化 |
Research Abstract |
地殻内マグマ溜まりにおける冷却固結過程における組成対流と境界層分化の役割について定量化した。納沙布岬岩体では斜長石斑晶が岩体上部に多量に観察される。密度の計算や、岩体内の構造などにより斜長石は液より重いことが示されるが、岩体全体の分布は斜長石の浮上を示唆する。原因について、結晶沈積(浮上)の順問題として考察し、斑晶同士の相互作用と斑晶と液との相互作用を考慮した沈積(浮上)メカニズムを提案した。また、岩体の全体の組成構造は、下部の斑晶濃集領域からの分化液が上部へ流入することで形成したことを、粒間液組成、斑晶の部分溶蝕組織、パイプなどの岩体内構造から示した。そして、マスバランスモデルを用いた逆問題として固結の速度、分化液の流入程度などを制約した。下部固液共存層が分化液の供給源となることや、マグマ溜まり本体に分化液が流入することでリキダスが低下し結晶化の進行が遅くなることなどマグマ溜まりの物理化学過程に重要な過程が実際に起きていることを示した。2本の投稿論文として投稿予定である(仮題:"Mechanism of Chemical and Thermal Evolusion of a Crustal Magma Chamber : constraints from a Sheet-like lntrusion", "The formation process of plagioclase rich layer in the upper part of the Nosappumisaki Intrusion")。サイズの異なる根室地方の他岩体について全岩化学組成などの組成データを得た。上記の非常に詳細な検討された納沙布岬貫入岩体との比較を行った結果、キナトイシ岩体について、内部における分化度合いが軽度であることが示された。
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