2002 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックメダカを用いた魚類の温度適応分子機構に関する研究
Project/Area Number |
00J09732
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
二瓶 義明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メダカ / 骨格筋ミオシン重鎖 / 温度適応 / ゲノム構造解析 / レポータープラスミドの構築 |
Research Abstract |
広温域性のコイは季節的な環境水温に馴化し、ATPase活性の異なる骨格筋ミオシン重鎖アイソフォームを発現することが明らかとなっている。しかしながら、これらミオシン重鎖アイソフォーム遺伝子の発現調節機構は未だ不明である。一方、同じく広温域性であるメダカではトランスジェニック技術が確立されており、魚類の遺伝子解析には格好の対象と考えられる。そこで本研究では、これまでに近交系メダカHNIを用いて馴化温度依存的に発現する7種類のミオシン重鎖アイソフォームcDNAをクローン化し、さらにメダカBACゲノムライブラリーよりダンデムに配列した11種類の成体速筋型ミオシン重鎖遺伝子を単離した。これらのうち1種類は新規機能遺伝子、3種類は偽遺伝子であることが示唆された。今年度は、11種類のミオシン重鎖遺伝子の発現状況を調べるとともに、各発現遺伝子の転写開始点付近の詳細な解析を行い、レポータープラスミドの構築を試みた。 新規および偽遺伝子と推定されたミオシン重鎖遺伝子に特異的なプライマーを作製し、10℃および30℃馴化メダカ骨格筋から構築したcDNAライブラリーを対象にPCRを行った。その結果、新規機能遺伝子の転写産物は確認されたが、3種類の推定偽遺伝子については転写産物が得られなかった。次に5'RACEおよびRT-PCRを行い、これまでの結果とあわせて8種類のミオシン重鎖遺伝子のゲノム構造を決定した。いずれも41個のエキソンからなり、全長は約10.4〜12.0kbp、1,935〜1,939アミノ酸をコードしていた。次に、5'上流域の機能解析を行うため、これら8種類のミオシン重鎖遺伝子のうち10℃および30℃馴化メダカにおいてそれぞれ主成分として発現していたmMyHC-6およびmMyHC-7を用い、これらの5'側を欠失させた種々の長さのDNA断片をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだレポーターアッセイ用プラスミドを構築した。すなわち、転写開始点より約2kb、1kb、500b、200bおよび20b上流域のDNA断片をルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入した。また、ルシフェラーゼ活性の値を標準化するため、メダカ・βアクチンのプロモーターを組み込んだプラスミドも構築した。現在、各レポータープラスミドを10℃および30℃馴化メダカの骨格筋に注入し、その後5、10および15日目のルシフェラーゼ活性を測定中である。
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