2002 Fiscal Year Annual Research Report
複合的量的形質遺伝子座の統計的モデリングと同時推定手法の開発
Project/Area Number |
00J09788
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
中道 礼一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量的形質遺伝子座 / 連鎖地図 / 情報量規準 / 遺伝的アルゴリズム / 最尤推定法 / haplo type推定 / 非純系交配 / simulated EMアルゴルズム |
Research Abstract |
一般的なQTL解析手法は、自殖や近交によって得られた純系親系統を交配して得られる分離世代を用いて行われる。そのため従来のQTL解析手法は自殖性植物を主な対象にしていた。本研究では、遺伝的アルゴリズム(GA)による複数QTLの同時推定法を開発し、他殖性生物の解析用に拡張を行った。 多くの他殖性生物では純系親を作ることが困難である。そのため、任意の集団から無作為に親個体を抽出し、無作為交配による子集団内のQTLの分離についての尤度関数を考案した。これにGAによる推定を適用し、純系親を作らずにQTL検出を行うことを可能とした。そして、シミュレーション実験により、純系交配と同様の検出が可能なことを確認し、日本進化学会第4回東京大会にて発表した。 非純系交配ではマーカーがきれいに分離している保証はなく、親個体のhaplotypeは観察できない。つまり非純系親交配ではマーカーの由来情報は全て不完全で直接観察できない。しかしマーカー由来情報の条件付き確率は算出可能である。親個体のhaplotypeの事後確率は子集団内の遺伝子型の分布から求められ、親のhaplotypeが決定されれば子のマーカー由来情報の条件付き確率は周辺マーカーとの組換価から求められる。マーカー由来情報は、これらの確率に従うランダムサンプリングで決定される。ランダムサンプリングは、GA個体ごと、GA世代ごとにやり直し、マーカー由来情報の推定値を更新する。各QTLの遺伝効果はEMアルゴリズムにより、シミュレートされたマーカー由来情報を用いて推定される。シミュレーション実験でこのsimulated EMアルゴリズムの有効性を確認したところ、従来の手法が対処できない状況においても効果的にQTL検出がなされることが示された。この成果を日本動物行動学会第21回大会にて発表し、論文にまとめた。
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