2002 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本神道の形成史的研究-神道をめぐる国家・社会・教育
Project/Area Number |
00J09796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
厳 麗京 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宗教 / 思想史 / 神道 / 国家神道 / 信教自由 / 明治 / 大正 / 昭和 |
Research Abstract |
「近代日本神道の形成史的研究」を課題とする本研究は、「制度上」と「イデオロギー上」を、神道の発展を制約する二つの中心要素としたものである。平成14年度において、主に後者にかかわる近代社会の底辺における神道、あるいは神道的な要素を解明することを試みた。その中、得られた新たな知見は、以下のようにまとめることができる: 1、教育勅語の発布期を一つの転換点としてとらえる。その前後における神道界の思想的な動向と、「教育ト宗教ノ衝突」事件をめぐって呈した知識人の論説を分析し、国家認識と宗教認識といった二つのカテゴリの中、神道の発展に向って下準備を提供した過程を明らかにする。 2、明治末期から大正の初めにかけて府県郷村社を対象とした「神社整理」を研究する。これまで、その全体的な過程を把握できるような研究ができていない。本研究は、まずそれを明かにし、「暗流」の発見に至る。そこから、意義付けを行い、従来の結果を一方的に「破壊」に結びつく欠落を掲示した。民衆的な働きといった新たな発見を加え、「神社整理」をとらえなおすことができた。 3、神社制度がほぼ完成にむかえた大正から昭和初期までの期間に、社会における神道的な思潮を、宗教化と社会化といった二つの傾向でとらえて分析する。神社制度の統轄領域から距離をもった時点--自主性のもつ社会的風潮・思想--での神道のイデオロギー的形成過程を明らかにする。 こうして、以上の研究過程を通じて、「近代日本神道の形成」を連続的に把握する可能性が十分にある、といった結論に辿り着く。これまでの研究で解明できなかった矛盾に満ちた近代神道像を突破し、新しい神道像を築き上げることができたのである。
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Research Products
(1 results)