2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00J09807
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 尚貴 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 時間依存Schroedinger方程式 / 時間依存Kohn-Sham方程式 / 時間発展 / 量子動力学 / 非線形光学 / 量子デバイス / 分子デバイス / シミュレーション |
Research Abstract |
昨年度までに私は時間依存Schroedinger方程式や時間依存Kohn-Sham方程式のもとでの波動関数の時間発展を数値的に解くアルゴリズムを改良してきました。 本年度前半では、このアルゴリズムを用いて、2次元メゾスコピック系での電子状態の時間発展の汎用シミュレータを開発しました。このプログラムでは周期的または閉鎖的な2次元系の任意の回路図を設定できます。電場、磁場、密度汎関数理論による電子間の相互作用などを含めて、その回路内での電子の流れをシミュレートできます。このプログラムを用いて、近年ますます高速化と微小化が進んでいる半導体素子を量子力学的手法でより発展させることができます。 本年度後半では、分子や結晶中での電子の時間発展を計算する汎用シミュレータを開発しました。このプログラムはまず電子状態の初期状態を解きます。これはいわゆる通常の第一原理電子状態計算のことで、ハミルトニアンの固有状態を求めます。 そして同じハミルトニアンに外場を加ええ際の波動関数の時間発展を計算します。 このプログラムでは周期的、閉鎖的な系に加えて、孤立的な3次元系を扱えます。 電場、磁場、電子間相互作用などを含めて任意の結晶、分子での電子の運動をシミュレートできます。このプログラムを用いて、物質の光学特性や超高周波の外場での電気特性などを解析することできます。 本研究成果の計算アルゴリズムと計算ソフトウェアは近い将来の電子工学、応用化学の分野での原子・電子レベルの物質制御や機能設計に役立つと思われます。
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