2002 Fiscal Year Annual Research Report
SHGによるアキラルバナナ型液晶分子における(反)強誘電相の構造と発現機構の解明
Project/Area Number |
00J10277
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒岡 史人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強誘電性液晶 / 非線形光学 / バナナ型分子 / 不斉構造 |
Research Abstract |
本年度は、新規なバナナ型液晶分子であるP-8-OPIMB6^*の形成する強誘電性液晶構造の測定、解析を行った。P-8-OPIMB6^*はアキラルである従来の反強誘電性バナナ型液晶分子とは異なり、分子末端部に不斉炭素を含んでいるが、それだけの違いで強誘電性の分子反転を呈する。強誘電性の前提条件である、極性構造の発現とその保持のためには、分子の持つ自発分極が打ち消しあわないような対称性を系が持っている必要がある。このような対称性を持つ系は、SHGをはじめとする2次の非線形光学効果の発生要件である反転対称性を持たないという要件を必然的に満たすこととなる。このことから、SHGは強誘電系に敏感な探索法として多く用いられている。バナナ型分子そのものが大きな2次の分極特性を持つことは既に報告を行った。そこでSHG法により、バナナ型分子系の非線形光学特性を明らかにすることで、分子及び凝集極性構造を解明することを目的とした。 試料は面内電場を印加すると、一様配向すると同時に強誘電性の分子反転を呈する。本研究では、使用するレーザーパルスと印加交流電場とを同期させてSHGを測定するシステムを構築し、印加電圧依存性、入出射偏光依存性の測定を行った。その結果、(1)P-8-OPIMB6^*の強誘電系では大きなSHG信号が観測され、その非線形感受率は代表的な非線形物質に匹敵することを示した:(2)bis-dipolar modelと呼ぶ独自のモデルを用いて理論解析を行い、分子の配列構造と分子単独の非線形分極を明らかにした。これらの結果は過去の結果と比較しても非常に妥当であり、バナナ型分子における新規な強誘電性構造を非線形光学という観点から解明した。これらの成果は論文としてPhys.Rev.E 66,021705(2002)、および2002年国際液晶学会にて発表された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] F.Araoka et al.: "Polar structure in a ferroelectric bent-core mesogen as studied by second-harmonic generation"Phys.Rev.E. 66. 021705-1-021705-5 (2002)
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[Publications] F.Araoka et al.: "Electrogyration effect in a chiral bent-core molecular system"J.Opt.Soc.Am.B. 20. 314-320 (2003)