2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の相互作用に基づいた形態発生モデルによって創出する人工生命に関する研究
Project/Area Number |
00J10285
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶田 睦 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞モデル / 力学モデル / シミュレーション / 人工生命 / C.elegans / 細胞配置 / 胚発生 |
Research Abstract |
発生メカニズムの解明に向けて,発生を制御するアルゴリズムの探求と同時に実際の生物の発生過程を調べることが重要である.そこで本研究の目的は,生物の形成・発生メカニズムを調べるための仮想実験プラットフォームをコンピュータ上に構築することである. 本研究では,発生過程を再現するために細胞レベルの力学モデルを用いたシミュレータの開発を行い,モデル生物の線虫C.elegansの初期胚発生(1〜12細胞期)の細胞配置シミュレーションを行った.線虫の発生過程では細胞間相互作用が重要であり,それを制限する空間的な細胞配置を決定する因子を調べることが重要である. 方法として,昨年度までは細胞の形状として複数の質点同士をばね・ダンパーで接続・卵殻を楕円球で近似した力学モデルで表現し,細胞分裂を細胞形状の伸長・収縮環の収縮の二つの現象によってモデル化した.今年度は,まず実測値との比較等によって野生型の細胞配置の再現性を検証した.次に1)細胞間接着と2)細胞周期にあわせて細胞の丸さ・かたさが変化する現象をモデルに加え,再現性の向上を図った.また提案するモデルが4細胞期以降に適応可能かどうかを検討するために12細胞期までの細胞配置シミュレーションも行った. 結果として,4細胞期までのシミュレーション結果において細胞の位置関係が実測値と十分等しく,また新たなモデルによって細胞形状も実測値と等しくなったことから,提案するモデルは再現性が高いことがわかった.さらに12細胞期までの細胞配置も再現できたが,二つの鏡像体である特定の細胞配置の出現確率が実際と異なりランダムに決定されていることが問題点となった. 今後は提案するモデルを改良し4細胞期以降に見られる重要な細胞配置を再現できるようにすることで,現在では未知な機構の解明に本シミュレータを応用していくことが考えられる.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kajita, A., Yamamura, M., Kohara, Y.: "Computer Simulation of the Cellular Arrangement in Early Cleavage of the Nematode Caenorhabditis elegans"Bioinformatics. (印刷中).