2002 Fiscal Year Annual Research Report
協調学習における内省的なプロセスを支援するノートシステムの開発と評価
Project/Area Number |
00J10784
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
益川 弘如 中京大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 協調学習支援システム / 学習プロセス / 知識構成 / 協調的吟味 / ReCoNote / 相互関連付け / 実験デザインアプローチ / Jigsaw形式 |
Research Abstract |
1.ノートシステムReCoNoteを効果的に利用するカリキュラムの開発と実践 2001年度に続き2002年度学部3年生4年生を対象とした集中講義「学習と発達の認知科学」にノートシステムReCoNoteを導入した。授業目標は「認知科学の知見を生かした授業カリキュラム案を提案する」ことである。12の基礎文献、2つの応用研究文献を各グループが押さえ、互いに説明しあって関連付けを考えていく活動を導入した。そして、その関連付けから「人が上手く学べる条件」を抽出し、グループで授業案を提案した。関連付け活動はReCoNoteで支援、人が上手く学ぶ特徴を抽出する活動の促進を狙った。前年度の授業実践での活動データの分析による改善点から、3つの授業フェイズに亘って授業をデザインし直し実践評価、効果を検証した。 基礎研究フェイズ: 改善1 文献の内容をきちんと理解した上で関連付けの議論をさせるため、1文献を理解する活動に時間を掛ける 改善2 システム上に内容をまとめる支援として、空間配置した内容をプリント上で文章化 改善3 後から比較参照吟味の材料とするため、ReCoNoteの活動を明確に導入 応用研究フェイズ: 改善4 ビデオ教材を繰り返し吟味可能にするため、2人1組でパソコン上で自由に見直す活動を導入 改善5 見直す際に役に立つよう、ビデオの時系列に沿って疑問点等をチェックできるメモ用紙を用意 改善6 応用研究と基礎研究の関連付けを促進するため、振り返るときに基礎研究と関連付けるためのメモ用紙を用意し、システムとの橋渡しを図る 授業提案フェイズ: 改善7 単なる学びの特徴でなく、授業提案に利用可能な上手く学ぶための条件を抽出する支援 改善8 カリキュラムと条件を関連付ける支援のため、授業案の構成要素ごとに関連付けるよう促す 改善9 授業案を深める支援のため、作成途中にギャラリーウォーク(中間評価)を実施 2.2002年度での授業分析と成果発表 分析の結果、相互リンク作成の活動が増え、特に基礎研究と応用研究との間には84個のリンクが作成された。また「人が上手く学べる条件」として抽出された内容が、研究に依存した特徴抽出から、授業案に活用できるような抽象レベルでの抽出が増加した。成果は、AERA2002、認知科学会、PCカンファレンス、電子情報通信学会教育工学研究会にて発表した。
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