2002 Fiscal Year Annual Research Report
図像資料、文字資料、考古学資料を通した中世初期ソグディアナ文化の解明
Project/Area Number |
00J10786
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Research Fellow |
影山 悦子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソグディアナ / ソグド人 / 絹織物 / 壁画 / 葬具 / トルファン / 中国美術 / ササン朝ペルシア |
Research Abstract |
本年度前半は、ソグディアナにおいてどのような種類の絹織物が使用されていたのか、また生産されていたのかを、図像資料と出土資料を通して考察した。ソグドの壁画に表された織物の文様から、7世紀半ばにはササン朝ペルシア製の錦が、そして8世紀には中国製の綾や宝相華文錦がソグドで流行していたことが明らかになった。また、中国の新疆ウイグル自治区トルファンの7世紀半ばの墓から、十数点の完成度の低い錦が出土しているが、この錦のほぼ半数は鹿の文様を表している。ソグド人は特に鹿を銀器の文様として使用していたことが知られている。鹿の文様を多く表す当該錦もソグド製である可能性が高いことを指摘した。 後半では、中国に移住したソグド人の墓から出土した葬具浮彫を検討した。これらの葬具は6世紀後半に製作されたと推定されている。ここ数年の間、次々とこの浮彫に関する研究論文が発表されているが、その多くは浮彫の図像をゾロアスター教やイランの文化によって解釈しようとしている。筆者は、ソグド人の葬具を同時代の中国の墓葬芸術及び仏教芸術と比較し、ソグド人の葬具の図像には中国美術の模倣が少なからず認められることを指摘した。また、葬具の製作者がソグド人であるか漢人であるか研究者の間で意見が分かれている。筆者は北朝期の漢人画家が描いたソグド人像はどれも戯画化されており、ソグド人の葬具に表された自然なソグド人像とは異なることに注目し、当該葬具の製作者はソグド人であったとの結論に至った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] E.Kageyama: "A Chinese way of depicting foreign delegates discerned in the painting of Afrasiab"P. Huyse (ed.) Iran : Question et connaissances, actes du IVe congre europeen des etudes iraniennes. 309-323 (2002)
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[Publications] 影山 悦子: "ソグディアナにおける絹織物の使用と生産"オリエント. 45/1. 37-55 (2002)
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[Publications] 影山 悦子: "中国北部に移住したソグド人の石製葬具浮彫"シルクロード学研究叢書. 7(印刷中). (2003)