2002 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物におけるペルオキシソーム形成機構の遺伝学的、細胞生物学的解析
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00J11016
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
深尾 陽一朗 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グリオキシソーム / プロテオーム解析 / シロイヌナズナ / プロテインキナーゼ / タンパク質リン酸化 / ペルオキシソーム / 黄化子葉 |
Research Abstract |
脂肪性種子植物の子葉に存在するペルオキシソームは、その成長過程において可逆的に機能転換することが知られているオルガネラである。暗所で生育させた黄化子葉には脂肪酸β酸化やグリオキシル酸回路に関与するグリオキシソームが存在する。やがて光を受けて緑化した子葉では光呼吸に関与する緑葉ペルオキシソームへと機能転換する。近年決定されたシロイヌナズナゲノム配列を検索すると、ペルオキシソーム輸送シグナルであるPTS1やPTS2を持つ遺伝子、あるいはペルオキシソームの機能に関与する遺伝子が281存在していることが明らかとなった。このことは、ペルオキシソームに未同定タンパク質が数多く存在していることを示唆する。 そこで本研究では、MALDI/TOF-MSを用いたプロテオーム解析によりペルオキシソームに局在するタンパク質を網羅的に解析することで、新規タンパク質の同定を行うこととした。すでにシロイヌナズナからの緑葉ペルオキシソーム単離系を確立し、19の新規タンパク質を含む29のタンパク質を同定することに成功している。これを黄化子葉に存在するグリオキシソームへと解析対象を移し、同じくプロテオーム解析を行った。この結果、13の新規タンパク質を含む19のタンパク質を同定した。 このようなオルガネラに特化したプロテオーム解析において、同定された新規タンパク質が実際そのオルガネラに局在するかどうかを解析することは、その実験の精度を証明する上でも非常に重要なポイントとなる。そこで新規に同定されたタンパク質の1つをperoxisomal protein kinase1(PPK1)と命名し、さらに詳細な解析を行った。解析の結果、PPK1はグリオキシソーム膜の内側に存在する表在性型膜タンパク質であり、kinase domainと予想される領域がグリオキシソーム内に存在していることを明らかになった。これまで、全生物種のペルオキシソームにおいて、ペルオキシソーム内でのリン酸化が起こるかどうかは知られていなかった。このことから、カボチャ黄化子葉からの単離グリオキシソームを用いて、グリオキシソームタンパク質がアイソトープラベルされるかを確認したところ、確かにグリオキシソームタンパク質がリン酸化を受けることを明らかにした。さらに、PPK1が約40kDaタンパク質に対して特異的にリン酸化を行っていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Youichiro Fukao, Makoto Hayashi, Mikio Nishimura: "Proteomic analysis of leaf peroxisomal proteins in greening cotyledons of Arabidopsis thaliana"Plant&Cell Physiology. 43. 689-696 (2002)