2002 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴミエリナーゼ低分子阻害剤の開発とそれを用いた加水分解機構の解明に向けて
Project/Area Number |
00J11162
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
箱木 敏和 関西学院大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スフィンゴミエリナーゼ / 基質類縁体阻害剤 / ホフマン転位反応 / クルティウス転位反応 / スフィンゴミエリン窒素置換体 / スフィンゴミエリン硫黄置換体 / スフィンゴミエリンCF_2置換体 / 新規リン試薬 |
Research Abstract |
スフィンゴミエリナーゼ(SMase)は、スフィンゴリン脂質に対する特異的な加水分解酵素である。この酵素の阻害剤として、スフィンゴミエリンのリン酸エステル部の酸素原子を窒素原子、硫黄原子、ジフルオロメチレンに置き換えた置換体の合成を検討した。 昨年、2度の転位反応を効果的に用い、窒素置換体の合成に成功したが、この合成法は収率、最終生成物の精製に課題を残しており、転位反応の更なる検討を行ったところ、窒素原子に保護基を用いない場合に、転位中間体であるイソシアナートを窒素原子が捕捉したイミダゾリジノン化合物が高収率で得られた。通常厳しい条件が必要なこの化合物の開環は、室温という穏やかな条件で達成し、続くアシル基の導入により1-アミノセラミドの効率よい合成法を確立した。続いて、系内でブロモエタノールを含むリン酸クロリドを調整し、リン酸化を実現することで窒素置換体の合成を達成した。 硫黄置換体の骨格は、システイン誘導体を原料に用い、この化合物に対するモノアルキル化、立体選択的な還元を達成することで構築した。得られた化合物に対するリン酸化は、困難であったが、新規なブロモエタノールを含むホスファイトを合成し、利用することで、効果的にリン酸部を導入することに成功した。得られるリン酸化物は極性が制御されており、後の誘導化が容易である。このリン酸化法は、メルカプト基に対してのみでなく、水酸基、アミノ基に対するリン酸化にも有効であり、対応するホスホコリン部前駆体を与える。リン脂質の極めて高い極性がリン脂質やその誘導体の合成を困難にしていた事実を考慮すると、この方法を用いることで、今後リン脂質やその誘導体の合成が容易になると期待できる。得られたリン酸化物に対し、コリン部を導入することで硫黄置換体の合成を達成した。 ジフルオロメチレン置換体の合成は、現在、光学活性なホスホン酸を得ており、残す課題はコリン部の導入である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Hakogai, Y.Monden, M.Taichi, S.Iwama, S.Fujii, K.Ikeda, S.Katsumura^*: "Synthesis of Sphingomyelin Carbon Analogues as Sphingomyelinase Inhibitors"The Journal of Organic Chemistry. 67. 4839-4846 (2002)
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[Publications] T.Hakogai, T.Shigenari, S.Katsumura^*, T.Sano, T.Kohno, Y.Igarashi^*: "Synthesis of Fluorescence-Labeled Sphingosine and Sphingosine 1-Phosphate ; Effective tools for Sphingosine and Sphingosine 1-Phosphate Behavior"Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 13(in press). (2003)