2002 Fiscal Year Annual Research Report
大量遺伝情報解析によるヒトゲノム高次構造の比較進化的研究
Project/Area Number |
00J60105
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
新村 芳人 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒトゲノム / 多重遺伝子族 / 遺伝子クラスター / 嗅覚リセプター / 分子進化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、比較ゲノムの手法に基づいて、ヒトをはじめとする真核生物のゲノム構造がどのように進化してきたかを知ることである。本年度は以下のような研究を行った。 1.ヒトゲノム上に最も多く存在する遺伝子族である嗅覚リセプター遺伝子の分子進化的解析を行った。嗅覚リセプター遺伝子族はヒトゲノム上で多数のクラスターとして存在しているが、クラスター内に含まれる遺伝子の進化的な由来は一様ではないことが明らかになった。このことから、進化の過程において、嗅覚リセプター遺伝子族のクラスター間で多数のゲノム組み替えが起こったことが示唆された。現在さらに、マウスとの比較研究を行っている。なおこの研究は、米国ペンシルバニア州立大学のMasatoshi Nei教授の指導の元で行われた。 2.真核生物のゲノム構造と遺伝子発現との関連性を知るために、全ゲノムの明らかになった7種の真核生物の全遺伝子配列を用いて、開始・終止コドン周辺に位置する塩基出現頻度の偏りを調べた。その結果、真核生物において塩基出現頻度は著しく偏っており、そのパターンは生物種ごとに特徴的であることが明らかになった。また、開始コドンの次のコドンにおいて偏りが最も顕著であることから、それが遺伝子の翻訳効率と関連していることが示唆された。本研究はプロテイオス研究所の三浦謹一郎博士らとの共同研究である。 3.イネゲノム第1染色体のゲノム構造について、農業生物資源研究所の佐々木卓治教授らと共同で解析を行った。その結果、遺伝子のタンデムリピートが多い、遺伝子族ごとに染色体上の分布が偏っているなどの新たな知見が得られた。本研究の結果はNature誌に掲載された。
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Research Products
(2 results)