2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
00J60801
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清野 真理 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 血管新生 / アポトーシス / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
個体の発生過程における血管のリモデリングは、内皮細胞を中心とする血管構成細胞の細胞増殖、アポトーシスの相反する2つのシグナルのバランスにより制御される現象であることから、血管のリモデリングを誘導するシグナル伝達経路の解析は血管形成機構を理解する上で重要といえる。本研究では、ラットを生体モデルとして、その瞳孔膜上の血管退縮の分子機構を解析した。 ラットは生後2週間かけて、眼球内に残存する瞳孔膜が消失することが知られている。この瞳孔膜上には、栄養を供給するために無数の毛細血管網が張り巡らされている。これまでに、瞳孔膜の消失と平行して、その血管網もアポトーシスの誘導に伴い、消失すること、また、瞳孔膜血管の消失には、局所的なVEGF低下以外の分子機構が存在する可能性があることを報告した。そこで次に、瞳孔膜周辺部から内皮細胞への影響を検討するために、水晶体の培養上清添加下でHUVECの培養を行った。その結果、水晶体培養上清添加によりHUVECの増殖が抑制され、さらに、アポトーシスが誘導されることを見出した。また、この現象は、瞳孔膜消失時期の水晶体を用いた場合にのみ認められ、角膜や瞳孔膜血管の培養上清では観察されなかった。次に、生後8日令のラットの瞳孔膜血管の培養系を確立し、瞳孔膜血管にのみ、特異的なアポトーシスが誘導されることを確認した。さらに、この系において、瞳孔膜血管にVEGF非依存的なアポトーシスを誘導する、瞳孔膜周辺部からの分泌因子を同定した。
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