1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01044029
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Research Institution | Tokyo University |
Principal Investigator |
山内 昌之 東京大学, 教養学部, 助教授 (80158071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILLIAM Grah ハーバード大学, 中東研究センター, 所長教授
PAUL Dumont ストラスブール大学, 文学部, 教授
CHANTAL Quel 社会科学高等研究院, 上級研究員
AUDREY Altst マサチューセッツ大学, 文学部, 助教授
HASAN Paksoy ハーバード大学, 中東研究センター, 研究員
福田 安志 中央大学, 文学部, 講師
新井 政美 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (60167989)
小松 久男 東海大学, 文学部, 助教授
栗生沢 猛夫 北海道大学, 文学部, 助教授 (40111190)
坂本 勉 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (90051854)
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Keywords | 都市 / エスニシティ / 民族主義 / トルコ系地域 / ムスリム / ネットワ-ク / イラン / メッカ巡礼 |
Research Abstract |
湾岸戦争後の中東世界の混乱、ソ連邦の解体を経験した本年度は、研究対象地域に起こりつつある変容を踏まえつつ、ソ連と中東における都市を有機的に比較検討しながら調査研究を実施し、あわせて当該地域での研究状況の把握と諸外国の研究者との交流に努めた。このために、第1に、タシケント、イスタンブ-ル、エルサレム、カイロを始めとした9都市において、現地人研究者および関係者の協力を得て、都市化とエスニシティの多様性に起因している政治、社会問題と粉争の現状を実際に観察し、現地人研究者との間で意見の交換を行なった。 第2に、都市とエスニシティの問題を、都市化にともなう都市の経済構造と都市間ネットワ-クの変容、および都市を基盤とした民族主義イデオロギ-展開の側面より検討した。このためにイラン諸都市とイスタンブ-ルとの間の通商とアラビア半島諸都市における通商活動を取り上げ、また旧ソ連のムスリム・トルコ系地域、イランおよびトルコの諸都市におけるメッカ巡礼を通してた都市間ネットワ-クの変遷が検討された。民族主義については、トルコや旧ソ連邦・トルコ系地域における民族意識の展開過程が都市変容と関連づけられながら検討された。これらの研究によってソ連・トルコ地域から中東にかけての経済と宗教を軸とする都市間ネットワ-クの連続性、都市化と民族運動の相関性を明らかにする上で大きな成果をあげることができたと確信している。 第3に、3年目に入った本研究では、現地研究者や西欧、東欧諸国の研究者との間で共同研究や討議を行ない、ストラスブ-ルでフランスの研究者とともに「ソ連と中東の民族問題」についての国際シンポジウムを開催し、またアメリカ合衆国からハサン・パクソイおよびオ-ドリ-・オルスタット両氏を招聘し中央アジアについての共同研究を行なうなど、これまでの研究成果に基づき海外の研究者との交流に努めた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 坂本 勉: "イラン人のメッカ巡礼と都市ネットワ-ク" 東洋文化. 72. 191-234 (1992)
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[Publications] 栗生沢 猛夫: "モスクワ国家のカザン支配" 北海道大学文学部紀要. 73. (1992)
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[Publications] 小松 久男: "中央アジアの都市と民族の問題" 学術月報. 45. (1992)
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[Publications] Hasan Paksoy: "Tarih,Toplumlarin Mayasi ve Uygarlik" 日本中東学界年報. 7. (1992)
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[Publications] 福田 安志: "近代のペルシャ湾における「海賊行為」についての再考" 中央大学文学部紀要. 140. 1-46 (1991)
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[Publications] 福田 安志: "ヤア-リバ朝における通商活動とイマ-ム" オリエント. 34. (1992)
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[Publications] 山内 昌之: "ソ連・中東の民族問題" 日本経済新聞社, 1-308 (1991)
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[Publications] Masami Arai: "Turkish Nationalism in Youth Turk Era" E.J.Brill, 1-168 (1992)